病気や怪我で働けなくなった時の保険

自営業の生命保険の選び方!家族に残す死亡保障の金額保険と収入保障保険

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FPのN女史
我が家は夫が個人事業主、妻が会社員、それに1歳になる子どもの3人家族です。

保険を考えないと、と思って保険会社の資料を取り寄せたりインターネットで調べたりしましたが、ほとんどの資料が「会社員の夫、専業主婦の妻、子ども2人」という「モデルケース」ばかり掲載していて、あまり参考にはなりませんでした。

そこで、一家の大黒柱が自営業やフリーランス、個人事業主という、会社員ではない人の生命保険の考え方や選び方について調べてみました。

目次

自営業と会社員・サラリーマンの受けられる保障の違い

自営業と会社員・サラリーマンとでは生命保険に対して必要な保証内容は別物と思ってください。

生命保険は、すでに持っている財産(家や預貯金など)や社会保険制度からのお金では足りないところを補うものですが、自営業とサラリーマンでは加入している社会保険の種類が違うからです。

※図

ここで注意したいのが、会社員には十分にあっても自営業にはないものです。

それは、会社からの弔慰金(法人名義で弔慰金や退職金を備えている方は省きます)と、
遺族年金といったものです。

会社に雇用されていると、万が一の時には弔慰金(または死亡退職金)が会社から支払われます。
弔慰金制度については福利厚生制度の一つなので、すべての会社がそのような制度を備えているわけではありません。

会社員の私の場合で調べると、死亡時の弔慰金は200万円でした。
そう、会社に雇われているだけで、死亡保障が自動的についてくるんです。

また、弔慰金制度以外にも会社員というだけで様々な公的保障や制度があります。
(会社によって弔慰金制度がない場合もあります)

 

会社員のメリット

制度 内容
弔慰金制度 従業員が死亡したら死亡退職金に加えて弔慰金も支払われる。(弔慰金制度がある会社の場合)
見舞金制度 従業員の家族が死亡したときにお見舞金が支払われる。

(見舞金制度がある会社の場合)

お祝い金制度 従業員や家族が結婚、出産したときにお祝い金が支払われる。(お祝い金制度がある会社の場合)
配偶者手当 専業主婦の妻がいる場合に配偶者手当が会社から支給される。(妻の年収制限あり)
退職金制度 一定年数の勤続年数で退職時に退職金が支払われる。

(退職金を前もって給与として支払い、運用を従業員自身に任せている会社もある)

傷病手当 病気やケガなどで働けなくなったときに、傷病手当が健康保険から支給される。
出産手当金 従業員が出産のために休業し、会社からお給料が支払われない時に健康保険から支払われる
育児休業給付金 出産後に育児のために休業する時に、雇用保険から支払われる。
介護休業給付金 家族の介護のために休業する時に、雇用保険から支払われる。
遺族厚生年金 遺族基礎年金に上乗せして支払われる。子どもが18歳以上でも支払われる。
障害厚生年金 病気やケガで働けない時に、障害基礎年金に上乗せして支払われる。支給範囲が障害基礎年金よりも広い。
老齢厚生年金 老齢基礎年金に上乗せして支払われる。

会社員にはこれら手厚い保障があることがわかりました。しかし、自営業にはこれらの保障がありません。

ということは、自分で対策をしていく必要があります。

 

自営業に必要な死亡保障の考え方

一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、国からは遺族年金が給付されます。
自営業の場合(国民年金保険加入の場合)は遺族基礎年金が支払われます。

しかし、この遺族年金は、誰でももらえるというわけではなく、一定の条件があります。
それは、
①18歳未満の子どもを養っていること
②子どもが障害者(障害等級1級、2級)の場合は、20歳未満であること。
③保険料納付済みの期間が加入期間の2/3以上あること。
です。

子どもがいない、または子どもがすでに18歳以上であれば遺族基礎年金は受け取れません。
遺族基礎年金は子どもが1人の場合年間で100万円程度です。ひと月にして8万円と少しです。

この遺族年金として受け取れるお金の合計金額に加えて、
・すでに持っている預貯金
・遺族がこれから働いて得る収入
を足した合計が、一家の大黒柱が死亡した際にその後の人生プランを組み立てる金額のベースになります。

上記は「入ってくるお金」とここでは定義します。

一方で、遺族が生活していくのに必要なお金を見ていかないといけません。
子どもがいる場合には教育費も必要になってきます。

さらに自営業の場合は、事業に必要なお金を借入している場合があります。
その場合は借入金を返していく必要もあります。

これらを合わせて「出ていくお金」と定義します。

入ってくるお金 出ていくお金
遺族基礎年金 遺された家族の生活費
今までの預貯金 子どもの教育費
妻が働いて得る収入 事業での借入金の返済(借入があれば)
妻の老齢年金

こんな分類になりますね。
これを頭において、次に実際のモデルケースでシミュレーションしてみます。

 

自営業の夫39歳・専業主婦の妻36歳・子ども3歳の場合でシミュレーション

生活費30万円(教育費も生活費30万円の中に含まれると仮定します)で、
自営業の夫が亡くなった後の公的年金で保障される額を、まず計算してみます。

※図

【A】の期間
子どもが独立する(アルバイトなり就職なりして一人でお金を稼ぐことができるようになる)までの
生活費を計算します。

子どもが23歳(大学卒業)で独立すると仮定したら、
それまでにかかる生活費は、夫死亡前の70%の生活費になるとして、
30万円×70%×12×(23-3)=5,040万円
になります。

【B】の期間
子どもが独立した後、妻が老齢年金を受け取るまでにかかる生活費を計算します。

子どもの生活費がかからなくなるので、夫死亡前の50%の生活費で足りるとして、
30万円×50%×12×(65-56)=1,620万円

【C】の期間
妻が老齢年金を受け取ってから平均余命で亡くなるまでの生活費を計算します。

これは【B】の期間と同じ水準と仮定します。
30万円×50%×12×(87-65)=3,960万円

【A】【B】【C】すべての期間で必要になる生活費の合計は
5,040万円+1,620万円+3,960万円=10,620万円
なんと約1億円にもなります!

これが、夫が亡くなってから妻が亡くなるまでの期間で必要になる生活費の合計です。

 

妻が受け取れる遺族年金・公的保障はいくら?

では、妻が受け取れる公的保障はいくらになるのでしょうか?

遺族基礎年金:月額83,716円
妻の老齢基礎年金:月額65,008円
と仮定して、

夫の死亡から妻が平均余命である87歳で亡くなるまでに受け取れる公的年金の額は、
子どもが18歳になるまで
遺族基礎年金:月額83,716円
83,716円×12×(18-3)=1,506万円

子どもが18歳(その時妻は51歳)になってから妻が老齢年金を受け取るまで
遺族基礎年金がなくなるため、1円ももらえません。

妻が老齢年金を受け取る年齢(65歳)になってから、平均余命(87歳)でなくなるまで
老齢基礎年金:月額:65,008円
65,008円×12×(87-65)=1,716万円

夫が亡くなってから妻が亡くなるまでに受け取れる公的年金の合計額は
1,506万円 + 1,716万円 =3,222万円になります。

亡くなった後の遺族に必要な生活費の合計は10,620万円と計算されているので、
公的年金だけでは足りない保障額は、
10,620万円‐3,222万円=7,398万円となります。

妻が、夫の死後も働かないのであれば7,398万円が、
夫の死後パートなどで働くのであれば、公的年金で不足する7,398万円からパート収入分を引いた金額が、
生命保険で備えるべき金額になります。

 

夫亡き後に36歳の妻が働きに出る予定であれば、7,398万円すべてを生命保険で補う必要はありません。

妻が月収10万円のパートに出た場合、65歳までの妻の収入は、
10万円×12×(65-36)=3,480万円です。
7,398万円―3,480万円=3,918万円(約4,000万円)を生命保険で補えばよいことになります。

さらに、すでに貯金があるのであれば、それを差し引いた金額が生命保険で補う金額になります。
とはいっても、これは生活費30万円がずっと続く場合の計算です。

子どもの成長と共の生活費は変動しますし、教育費についても進学する学校や下宿の有無によって全く異なります。

さらに、家が賃貸か持ち家か、持ち家の場合はローンがあるのかどうかでも変わってきます。

自営業の方だと、事業に係るお金で金融機関からの借入がある場合は、それも死亡保障にプラスしてもっておくのが良いでしょう。

 

7,398万円や3,918万円といった必要補償金額の保障金額は、実は夫が死ぬまでずっとその金額の保障が必要なのかというとそうではありません。

夫39歳という時点での計算であり、生きていればその分の死亡保障はいらなくなるので、年数が経つごとに必要な死亡保障は減っていきます。

そのため、このように横長の直角三角形の形をした死亡保障を持つことをおすすめします。
無駄な保障をカットしているため、保険料が割安ですみます。

※図

この死亡保障の場合は一生涯の保障を持つことはできません。

もちろん、死亡保障をすべて一生涯保障するタイプにすることも可能ですが、保険料がトンデモナイ額になります。
(逆三角形タイプの保険料が月々4,000円だとしたら、一生涯続くタイプのものは月々10万円超えになります。)

そこで一生涯の死亡保障として最低限のお葬式代ぐらいは欲しい場合は、
(死んだ際の保障なのであり、亡くなればほとんどの方が葬儀を行うため)
解約返戻金が無い・もしくは少ない終身保険(その分保険料が安い)を持つことも検討しても良いでしょう。

お葬式代の平均額は200万円弱となっています。
(家族葬でほとんど費用が掛からない場合もありますが、生前のものを処分する費用などでもお金がかかってきます)

それを一生涯続く保険で補うと、残された家族にお金の心配をかけずに済みますね。

※図

自営業の方は開業資金や事業のキャッシュフローのために、金融機関から融資を受けている方もいらっしゃるでしょう。

返済をしていっているとはいえ、もし万が一のことがあれば、遺族がそれを清算しないといけなくなります。
そのため、預貯金では足りない分だけ保険で備えるというのも一つの方法です。

※図

これら死亡保障をまとめると、図のようになります。
備える死亡保険金額は人によって当然異なりますので、ご自身のケースに当てはめて計算する際の参考イメージにしてみてくださいね。

収入保障保険も勘違いしやすいです。

収入保障保険
・じぶんご家族のお守り(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)
・&LIFE新収入保障・&LIFE新総合収入保障(三井住友海上あいおい生命)
・家計保障定期保険NEO就業不能保障プラン(東京海上日動あんしん生命保険)
・Keep収入保障保険(オリックス生命)
収入保障保険は、外資系各社から販売されております。

ネオdeしゅうほ(メディケア生命)
こだわり収入保障(マニュライフ生命)
家族収入保障保険(ソニー生命)
無解約返戻金型収入保障保険(ネオファースト生命)
マイディアレスト(メットライフ 生命)
さいふにやさしい収入保障(FWD富士生命)

保険料払込免除特約 三大疾病 身体障害 介護 健康体

保険料

割引

健康体

保険料

還付

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命

(七大疾病)

× ×
三井住友海上あいおい生命

(就労不能状態の要件)

×
東京海上日動あんしん生命 ×

(会社所定の要件)

×
オリックス生命 × × × × ×
メディケア生命 × × × ×
マニュライフ生命 × × × ×
ソニー生命

(がん特約のみ)

×
ネオファースト生命 × ×
メットライフ生命

(Ⅱ、Ⅲ型のみ)

(ケガによる障害のみ)

×

(Ⅴ型のみ)

FWD富士生命 × × ×
アクサダイレクト生命 × × × × × ×
T&Dフィナンシャル生命 × × × ×

 

 

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「就業不能に備える」https://www.jili.or.jp/kuraho/2015/essay/web03/web03.html
参考:同上「公的な遺族保障の仕組みについて知りたい」http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/provision/11.html

 

死亡保障の次に考えるべきは 働けなくなった際の保障

死亡保障は大黒柱が亡くなった際の残された家族への安心材料です。
次に考えなくてはならないのは、病気や怪我で働けなくなった際のこと。

・医療保険は病気や怪我の治療代をカバーするもの。
これもまずは公的な医療保障から確認しましょう。
自営業が病気や怪我をした時の公的な医療保障は? 医療保険は加入した方がよい?

・自営業は自分が資本なので、働けない場合の無収入に陥ることが多いです。
その場合の自分と家族の生活費をどうするかは下記のページを参考にしてみてください。
病気や怪我で働けない自営業の収入確保は? 就業不能保険と所得補償保険の比較

 

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