借り換えを検討するか、もしくは、銀行が何%まで金利を引き下げたら、借り換えの効果がないかということを考える際に、借り換えにかかる諸費用を計算すること無くして比較ができません。
住宅ローンの借り換えには諸費用がかかりますので、どのような費用があり、どの程度のお金が必要になるのかをしっかりと理解しておきましょう。
目次
住宅ローン借り換えにかかる諸費用と手数料
借り換えには様々な費用が発生します。
①繰り上げ返済手数料
借り換え前の住宅ローンを繰り上げて返済する際に手数料が発生する場合があります。
銀行によって手数料は異なりますが、32,400円となっていることが一般的なようです。
ただし、最近は繰り上げ返済手数料がかからない住宅ローンも増えています。
②保証料
借り換え後の住宅ローンの保証会社に支払う保証料が必要になります。
住宅ローンの残高や、残り期間によって保証料は大きく異なり、10万円〜50万円程度の保証料が必要になることが一般的です。
③収入印紙代
借り換える住宅ローンの契約書に貼付する収入印紙代が必要になります。
収入印紙代は契約書の金額(借入金額)によって異なり、住宅ローンに関係する借入金額の印紙代としては以下のようになっています。
100万円超500万円以下:2千円
500万円超1千万円以下:1万円
1千万円超5千万円以下:2万円
5千万円超1億円以下:6万円
なお、ネット銀行住宅ローンは契約書の締結がネット上で完結するので、上記収入印紙代は発生しません。
④融資実行手数料
銀行によっては借り換える際の事務手続きにかかる手数料が必要になる場合もあります。
手数料は銀行によって異なり、1万円〜5万円(税別)程度となることが一般的です。
なお、ネット銀行の住宅ローンは、保証料や手数料がすべて一緒になり、借入額×3.24%となっている商品がほとんどです。
⑤登記費用
借り換えによって、借り換える銀行の抵当権を住宅に設定し、これまで借りていた銀行の抵当権を住宅から外す登記の手続きをしなければなりません。
ここにも費用が発生します。
登記の手続きには登録免許税という税金が発生し、これが借入額の0.4%です。
この他にも司法書士への報酬として10万円程度が必要になります。
住宅ローンの借り換えに伴う諸費用というのは上記①〜⑤までのすべての費用を合わせたものを指します。
一方、住宅ローンの手数料というのは、純粋に銀行へ支払う④の費用を指しますので、一応違いを理解しておくようにしましょう。
借り換えは諸費用も込みで借り換えるのが基本
借り換えには様々な費用が必要になります。
また、借り換え住宅ローンの借入額は、元々の住宅ローン残金+諸費用となるのが基本です。
このため、借り換えをしてメリットがあるのかどうかということは諸費用も加味して計算しなければなりません。
例えば、残高2,000万円、残り返済期間20年、金利1.5%、毎月返済額96,509円の住宅ローンを下記の条件で借り換えた場合を考えて見ましょう。
手数料:628,000円(住宅ローン金額×3.24%)
金利:0.6%
返済期間:20年
登記費用:20万円
この場合、諸費用は828,000円ですので、借り換え住宅ローンの借入額は、2082万円となることが一般的です。(端数の8,000円だけは自己負担)
この場合の毎月返済額は、92,081円となります。
つまり、借り換え前の銀行へ金利引き下げ交渉を行なって、毎月返済額が92,081円以下となれば、わざわざ手間をかけて借り換える必要はないのです。
以下、上記住宅ローンの金利を引き下げた場合の返済額のシミュレーションです。
金利 | 返済額 |
1.4% | 95,592円 |
1.3% | 94,680円 |
1.2% | 93,774円 |
1.1% | 92,874円 |
1.0% | 91,979円 |
借り換え前の住宅ローンを金利1.0%に下げた場合には、毎月返済額は91,979円となり、なんと諸費用をかけて0.6%の住宅ローンに借り換えをするよりも返済額は低くなります。
このように、住宅ローンは、「現在の住宅ローン残高の金利を下げた場合の返済額」と「現在の住宅ローン残高に諸費用を足して、借り換え後の金利の返済額」で比較して、借り換えた方が返済額が下がった場合のみ行うようにしましょう。
金利差で比較するのではなく、返済額で比較することが最も重要です。
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