住宅ローンを以前に借りた人は、今の歴史的な住宅ローンの金利水準を見て「今借りておけばよかったなぁ」と思っている人も多いのではないでしょうか?
日銀のマイナス金利政策導入以降、住宅ローンの金利は歴史的な低金利となっています。
しかし、以前借りている住宅ローンは、借り換えによって現在の低金利水準の住宅ローンに借り直すことができます。
ただし、住宅ローンの契約手続きはとても面倒ですので、筆者も銀行員時代に借り換えを提案した顧客から「金利が下がるのは嬉しいけど、手続きが面倒」という声を多く聞きました。
借り換えをしなくても、銀行と交渉すれば住宅ローンの金利を下げてもらえる場合があります。
しかし、金利の引き下げには、タイミングや交渉テクニックが非常に重要になり、借り換え住宅ローンの諸費用などと比較して、どちらが得になるのかを考える必要があります。
そこで、住宅ローン金利引き下げの交渉方法と、住宅ローン借り換えにかかる諸費用や手数料について解説していきたいと思います。
目次
住宅ローンを借りている銀行に金利引き下げ相談はできるのか?
現在、住宅ローンを借りている銀行に金利の引き下げを相談したり、交渉したりすることはできるのでしょうか?
相談も交渉もどの銀行とも行うことができます。
しかし、実際に金利が引き下がるのかどうかということは、どの銀行へ相談するのか、住宅ローンの返済状況や、タイミングによっても結果は異なります。
相談 交渉すること自体は可能
金利の引き下げの交渉をすること自体は全く問題ありません。
また、交渉によって金利が引き下がるケースは実際にありますし、筆者も銀行員時代に何回も住宅ローン金利の引き下げを行なってきました。
どのような銀行でも、窓口や電話で「住宅ローンの金利を下げることはできませんか?」と尋ねて門前払いになることはありません。
しかし、金利は銀行にとっては収益源ですので、2つ返事で「わかりました。下げましょう」と応じてくれることはほとんどありません。
その場合何と切り出せばよい?
金利を引き下げたい場合には、どのような交渉の方法がよいのでしょうか?
基本的には銀行の弱いところを付くのが常套手段です。
そのため「金利の低い住宅ローンに借り換えを検討しているのですが、金利を引き下げることはできませんか?」と交渉するのが最も効果的です。
また、筆者はこの方法でしか金利が下がったのを見たことがありません。
銀行にとって貴重な収益源である金利を引き下げさせるには、金利を引き下げてでも住宅ローン取引を継続したいと思わせるしかありません。
借り換えられてしまったら銀行は利息収入が0円になってしまうので、「借り換えを検討している」と切り出すしか、銀行が金利を下げることはないのです。
銀行の支店でも、安易に金利を下げてしまったら本部に怒られるので「借り換えによる住宅ローン流出を防衛するため、やむなく金利を引き下げたい」などの稟議を本部に上げれば大抵の場合、金利引き下げの審査には通過することができます。
延滞などがないことが交渉の大前提
銀行とすれば、借り換えられる可能性があるからこそ、金利を引き下げるのです。
そのため、明らかに他の銀行の住宅ローン審査に通過することができない人に対しては金利の引き下げを行いません。
明らかに他の銀行の住宅ローン審査に通過することができない人というのは、住宅ローンの返済を延滞していることが多い人です。
住宅ローン借り換え審査の際には、借り換え前の住宅ローンの返済履歴を通帳のコピーからすべて調べられ、ここで遅れが多い人には審査に通過することはできません。
このような人は、借り換えが不可能な人ですので、銀行は金利引き下げ交渉があっても取り合ってくれないのです。
金利引き下げ交渉をしたいのであれば、まず確実に借り換え住宅ローンの審査に通過する自分を作ってから交渉をすれば、自分に有利な状態で銀行と交渉ができます。
もっと有利なのは、他行の住宅ローンの事前審査には通過できている状態ですので、金利を引き下げたい人は、交渉をする前にネット銀行などの住宅ローンの事前審査に申し込んでみてからの方がよいかもしれません。
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引き下げには応じない可能性が高い銀行
金利引き下げに応じる銀行は、基本的に店舗を構え、面談での交渉が可能な銀行です。
ネット銀行などは、基準外の条件で融資をするようなことはほとんどないので、金利引き下げ交渉を行なっても難しいでしょう。
地方銀行や信用金庫などの地域密着の金融機関の方が金利引き下げに成功する可能性が高いと言えるでしょう。
相談 交渉に良いタイミングはあるの?
金利の引き下げ交渉のためによいタイミングはあるのでしょうか?
基本的にはいつでも交渉することはできます。
しかし、銀行にとって、借り換えられてしまったら最も痛い時期の方が交渉には応じてもらいやすくなります。
交渉のタイミングについて説明していきます。
固定期間終了時
住宅ローンの固定金利を選択している人は、固定期間が終了すると金利の優遇がなくなるか、優遇幅が狭くなり、一般的に住宅ローン金利は上昇します。
そのため、多くの人がこのタイミングで借り換えを行なっています。
銀行としてもこのタイミングで借り換えをされてしまうリスクが高いということは認識しているので、固定期間終了時は、「金利が上がるのであれば借り換えを検討したい」と言えば、金利引き下げに応じてくれる可能性があります。
筆者が銀行にいた時、担当していた顧客の固定期間が終了して、何もケアせずに放置した結果として、住宅ローンを他行に借り換えられてしまい、大きく怒られたことがあります。
銀行は、固定期間終了時は顧客の動向に敏感になっていますので、このタイミングで交渉するというのは1つのポイントになります。
他の銀行の金利が下がっているとき
他の銀行が、住宅ローンの金利を大きく引き下げたキャンペーンなどを始めた時にも、銀行は「自行の住宅ローンを借り換えられてしまうのではないか」と危惧します。
このような時にも「〇〇銀行が金利の低い住宅ローンを始めたから」などと交渉すると金利が下がる可能性があります。
特に同じ地域で経営をしている地方銀行同士や、信用金庫同士になると、近くの他の金融機関に自分の銀行の住宅ローンを借り換えられるということに、テリトリー意識が強い銀行は敏感になるので、プライドをかけて金利を引き下げることもあります。
決算前の時期
決算前の時期はかなり金利引き下げに有利なタイミングです。
銀行の各支店は支店ごとに、「期末融資残高〇〇億円」などのノルマを抱えています。
このノルマに向かって、融資案件を探しているのですが、銀行のノルマというのは達成するのがかなり大変なキツいノルマですので、期末前になると、銀行はなんとかノルマを達成しようと、取引先のあらゆる企業へ「お金を借りてください」と頭を下げて回っています。
少しでもノルマのために融資を実行したいこのタイミングで、融資残高の多い住宅ローンを借り換えられてしまったら、支店としては、期末融資残高のノルマの達成がかなり危うくなってしまいます。
つまり、期末近くになって銀行に対して借り換えの話を持ち出せば、銀行は何としてでも借り換えを防ごうとしますので、金利が下がる可能性が高いのです。
新規で数千万円の融資案件を見つけてくるよりも、金利を引き下げて数千万円の住宅ローンの借り換えを防止する方が簡単ですので、銀行がノルマに敏感な期末の時期は金利が引き下がる可能性が非常に高いと言えるでしょう。
借りている銀行で金利引下げと他行の低金利住宅ローン借換の比較
そもそも、住宅ローンを現在借りている銀行に、金利の引き下げ交渉をすることと、住宅ローンを新規に他の銀行から借りて借り換えてしまうのはどちらの方がよいのでしょうか?
手間などを考えたら今借りている住宅ローン金利も銀行に引き下げてもらうことが最も効率のよい方法です。
毎月の負担も少しでも減らしたいという場合には、しっかりと比較した上で、借り換えの方がお得な場合のみ借り換えを選択した方がよいでしょう。
借りている銀行に交渉した方が費用と手間はかからない
金利の引き下げに特別な書類は必要ありません。
銀行によって、条件変更承諾書のような書類に記名捺印をする必要がある場合もありますが、必要な書類はその程度で、公的証明書などは特に何も必要ありません。
借り換えに伴う費用もかかりませんし、住宅ローン契約時に必要だった膨大な資料や契約書関係の記入も一切ありません。
借り換えの諸費用と比較してどちらが得か計算しよう
一方、借り換えをする場合には、基本的に新規で住宅ローンを借りたときと同じような資料と契約書の記入と手間が必要になります。
また、単純に金利が低くなれば支払金額も少なくなると考えている人が多いのですが、借り換えには諸費用というものが発生します。
借り換えを検討する際には諸費用も加味して返済額が安くなるかどうかを検討する必要があります。
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つまり、借り換えた方がよい場合というのは、諸費用込みで返済額が今より少なくなる場合かつ、住宅ローンを新規契約した時と同様の手間がかかる覚悟がある場合に限られることになるのです。
住宅ローン金利引き下げ相談 まとめ
借り換えと金利の引き下げ、どちらが良いかということはシミュレーションを取った上でメリットがある方を選択して決めるべきでしょう。
しかし、筆者の銀行員として経験として、借り換えを餌にすることで、銀行の住宅ローン金利が下がる可能性はかなり高いので、わざわざ住宅ローンを借り直すという手間をかけるよりも、金利の引き下げをした方が費用対効果は高いと思います。
とは言え、銀行によっては金利の引き下げには全く応じてくれないところもありますので、その場合にはできる限り金利の低い住宅ローンに借り換えをした方がよいでしょう。
なお、シミュレーションの際にはくれぐれも諸費用を加味するようにしてください。
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