銀行に定期預金を預けると、その定期預金を担保にお金を借りることができます。
定期預金担保というと、総合口座貸越を連想する人が多いですが、銀行では総合口座とは関係なく、定期預金を担保にお金を借りることもできます。
基本的に誰でも借りることができるローンですし、住宅ローンなども有利な条件で借りることができます。
銀行からお金を借りる方法の1つとして覚えておいて損はありません。
銀行の定期預金担保貸付について詳しく解説していきます。
目次
銀行の定期預金とは?
定期預金担保貸付や総合口座貸越を理解するには定期預金について理解をしておくことが欠かせません。
まずは定期預金の特徴や普通預金との違いについて説明していきます。
預入期間を決めて銀行に預ける預金
定期預金とは、半年とか1年とか、あらかじめ預け入れる期間を決めて預金をします。
いつでも払い出すことができる普通預金と異なり、原則的に満期になるまで払い出すことはできません。
また、窓口でないと基本的に解約ができないので、ATMなどで簡単に下ろすことができず、お金を貯めやすい預金です。
ボーナス時などのまとまったお金が入った時に、将来に向けての貯蓄目的で定期預金を利用している人も数多く存在しますし、以前は銀行員にボーナス時期になると定期預金のノルマが課されていました。
期間が長ければ長いほど金利は高くなる
銀行にとってみれば、普通預金よりも長い期間預かることが前提の預金です。
定期預金はいつでも引き出すことが可能な普通預金と比較して、銀行の商品である現金を安定的に確保できるので、普通預金よりも定期預金の方が金利が高くなっています。
また、預入期間が長い定期預金ほど、より銀行にとっては安定して現金を確保することができるので、金利が高くなります。
ただし、今は歴史的な低金利水準に加えて、日銀のマイナス金利の影響で、銀行は融資や国債で運用できない預金はコストになるだけです。
銀行は以前のように定期預金に積極的ではなく、そのためもあって現在は定期預金金利が期間にかかわらず低金利です。
例えばみずほ銀行では全ての預入期間で2019年6月現在の金利は0.01%の低金利となっています。
満期になると利息を受け取れる
満期まで定期預金を預け入れると、利息を受け取ることができます。
利息は、預入元金に組み込まれる複利と、利息が普通預金に入金される単利のいずれかで受け取ることができます。
満期前に払い出すことはできない?
定期預金は預入時に設定された満期まで預入することを前提として普通預金よりも高い金利が設定されています。
原則的には満期前まで払い出すことができない預金ですが、実際には満期前でも簡単に引き出すことが可能です。
満期前に引き出す場合には金利が普通預金と同じになるだけです。
元金が割れるわけではないので、万が一満期前に必要になった時も安心して預入することができます。
定期預金は総合口座にも入金できる
定期預金は総合口座にも入金することができます。
また、総合口座へ定期預金を入金すると、総合口座当座貸越を利用することができます。
総合口座とは普通預金通帳と定期預金通帳が一体になった通帳
総合口座とは表が普通預金、裏が定期預金になった通帳で、どの銀行も取り扱う通帳ですので、保有している人も多いのではないでしょうか?
定期預金は定期預金専用通帳や証書で預けることもできますが、この総合口座通帳へ入金することも可能です。
定期預金と普通預金を別々に管理する必要がなく、普通預金と定期預金を一冊の通帳で管理することができるというメリットがあります。
様々な期間の預金も入金可能
定期預金は預入期間を1ヶ月から5年程度まで設定することができます(期間は銀行によって異なる)。
ゆうちょ銀行の総合口座には期間半年の定額貯金しか預けることができませんが、銀行の総合口座通帳には期間の異なるどのような定期預金も預けることができます。
総合口座の当座貸越が利用できる
総合口座へ定期預金を預けると、総合口座に預けた定期預金を担保とした総合口座当座貸越を利用することができます。
総合口座当座貸越については、詳しく後述します。
総合口座当座貸越の特徴
総合口座へ定期預金を預け入れると、総合口座当座貸越を利用することができます。
総合口座当座貸越は誰でも借りることができる融資ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
総合口座の定期預金の範囲内で借入可能
総合口座当座貸越は、総合口座に預入した定期預金の範囲内でお金を借りる借入方法です。
借入方法は普通預金から払い出すだけで、普通預金をマイナスにすることが可能です。
お金を借りると普通預金は「−〇〇円」と記帳されます。
新たにローン専用の口座を作るわけではなく、普通預金をマイナスにすることで銀行からお金を借りることができるのです。
総合口座貸越は総合口座へ預入された定期預金を担保にして、返済できない場合には定期預金と普通預金のマイナス分を相殺しますので、総合口座に預けた定期預金以上の借入はできません。
ATMから借入可能
総合口座貸越は普通預金をマイナスにしますので、普通預金を引き出す感覚と同じでキャッシュカードでATMから借入することができます。
コンビニATMを利用すれば、休日を含め24時間借入をすることが可能です。
定期預金は窓口でなければ解約できませんが、総合口座に預けておくことで、定期預金相当額の融資枠を設けることができ、この融資枠から365日24時間キャッシュカードで借入が可能になるのです。
自動貸越も可能
自動貸越とは、総合口座の普通預金に引き落としがかかった際に普通預金の残高が不足していた場合、自動的に貸越が行われ、引き落としを成立させる借入方法です。
例えば、普通預金残高5,000円の時に6,000円の引き落としがかかったら、通常は決済不能になりますが、自動貸越が自動的に発動し、不足分の1,000円を自動融資し、決済を成立させてくれるのです。
口座引落は、1円でも口座の残高が足りない場合でも、支払いができないので、少しだけでも総合口座の定期預金にお金を預けておけば、残高不足による支払い不能を防ぐことができるので便利です。
審査は必要ない
総合口座貸越は総合口座に預けた自分名義の定期預金を担保にお金を借りることです。
万が一返済できない場合には定期預金と貸越金額を相殺すればよいだけですし、貸越金額相当分の定期預金は引き出すことができません。
銀行にとって確実に回収ができる担保ですので、誰でも審査なしで借りることができます。
金利は定期預金金利プラス0.5%であることが一般的
金利は定期預金を金利プラス0.5%であることが一般的です。
自分名義の預金を担保にお金を借りているだけですので、カードローンなどよりも非常に低い金利でお金を借りることができます。
いざという時や残高不足が起きないようにしたい場合には便利
総合口座当座貸越は、総合口座通帳に定期預金さえ預けておけば定期預金相当額をいつでもATMから引き出すことができ便利です。
窓口でなければ引き出すことができない定期預金ですが、総合口座に入れておけば総合口座貸越によって、休日でも夜間でも定期預金相当額を引き出すことができるので、いざという時の備えになります。
また、口座残高が足りない時にも貸越によって引落を成立させてくれるので、残高不足による口座振替不能を防ぎたいという人にも役立ちます。
筆者が銀行員の頃は、お金を借りる需要がない余裕のある奥様方も、振替不能の予防策として数十万円程度総合口座に入金している人がたくさんいました。
定期預金担保貸付とは?
銀行は総合口座当座貸越の他にも定期預金担保の融資を扱っています。
この方法でお金を借りれば、通常のローンでは借りることかできない人もお金を借りることができ、金利的にもかなり有利な条件で様々な目的のローンを利用することが可能になります。
定期預金担保のローンの特徴やメリットについて説明していきます。
定期預金を担保にして借りる方法
定期預金担保貸付とは、その名の通り定期預金を担保に銀行からお金を借りる方法です。
定期預金担保は銀行にとって不動産よりも確実に回収できる担保です。
担保を処理する手間も時間もかからず、返済不能になった時にすぐに相殺して回収できるため、ほぼ確実に融資を受けることができますが、本人名義以外の預金を担保にする場合には審査があり、場合によっては審査に通過することができないこともあります。
定期預金を証書に預入、銀行が証書を預かることが一般的
定期預金担保融資は、定期預金の証書を銀行に預け、その預金額の範囲内で融資を受ける方法が一般的です。
銀行に預ける際には預金証書の裏面に氏名の記入と銀行印を押印し、いつでも引き出すことができる状態にしておきます。
これによって、銀行は返済が滞ったらすぐに預金を回収し、返済に充てることができるのです。
貸付は証書貸付や手形貸付で行われる
貸付方法は住宅ローンのように予め期日を決めて分割返済する証書貸付や、返済期日に一括返済する手形貸付など、資金の用途に応じて様々な方法を選択することができます。
総合口座当座貸越も定期預金担保貸付の1つ
前述した総合口座当座貸越も定期預金担保貸付の1つです。
定期預金担保貸付は、証書貸付や手形貸付で行うことができますが、総合口座当座貸越は、定期預金を担保にした当座貸越ということができます。
当座貸越とは、あらかじめ限度額を決めて、その限度額の範囲内で自由にお金を借りることができるというローンで、身近なところではカードローンが該当します。
総合口座当座貸越もカードで引き出しを行うことができるので、定期預金を担保にしたカードローンということもできるでしょう。
他人名義の預金を担保にお金を借りる方法もある
定期預金担保貸付では、他人名義の預金を担保にしてお金を借りることができます。
もちろん、預金名義人の同意が必要ですが、この方法を活用すれば、親の預金を担保にして子供が住宅資金を借りるなどということが可能になります。
本人に信用がなくて銀行からお金を借りることができない場合に、親の預金を担保に融資を受けることができるのです。
また、親の預金を子供に贈与してしまったら贈与税が発生する可能性がありますが、この方法であれば贈与税はかかりません。
筆者は信用情報の問題から住宅ローン審査に通過することができない人に対して、親の預金を担保に住宅ローンを融資したことがあります。
金利はやはり預金金利プラス0.5%
総合口座当座貸越と同じように金利は預金金利プラス0.5%の低金利です。
住宅ローンとして利用する場合には、ずっと固定金利で0.5%ですので、通常の住宅ローンよりもかなり金利は低いことになります。
ブラックでも借りることが可能だが審査はある
定期預金担保貸付は、銀行にとって最も確実に回収できる担保である定期預金を担保にするため、ブラックでも借りることができます。
しかし、審査はあります。
回収できるかどうかの審査ではなく、資金が必要かどうかの審査が行われます。
特に他人名義の預金を担保にお金を借りる場合には返済できない場合には預金名義人に大きな迷惑がかかることになってしまうので、資金使途や預金名義人との関係性などはかなり厳格に審査され、必要もない資金や預金名義人が高齢者などの場合には審査に通過することは難しくなります。
また、最近は審査が厳しくなっており、基本的に血縁者以外の預金を担保にしてお金を借りることはできません。
総合口座当座貸越だけは本人名義の預金を担保に行う融資ですので、審査なしで100%借りることができます。
パッケージ商品ではないので銀行へ相談
総合口座当座貸越以外の預金担保貸付は、あらかじめ金利や限度額が決まったパッケージ商品ではありません。
そのため、借りたいのであればまずは銀行窓口で相談する必要があります。
この際、何も取引がない銀行に話しても相手にされませんので、預金名義人の預金がある銀行へ相談するとよいでしょう。
預金名義人が預金している銀行は、定期預金担保貸付を融資しないと預金を下ろされてしまう可能性があるので、定期預金担保貸付の相談に乗ってくれる可能性は高くなります。
銀行の定期預金担保貸付 総合口座の当座貸越 まとめ
銀行は定期預金を担保にして融資を行なっています。
定期預金を担保にした当座貸越が総合口座当座貸越になります。
金利が低いカードローンのようなイメージで利用することができ便利です。
この他にも証書貸付や手形貸付にも対応していますので、無担保では審査に通らない場合や親の預金を活用して融資を受けたい場合には、かなり審査に通りやすい方法です。
利用を検討している人は預金名義人とともに銀行へ相談してみましょう。