「住宅ローン借り替えシュミレーション」で検索してくる人も多いですが、
シュミレーションではなく、シミュレーションが正しい言葉となります。
語源の英語のつづりは「simulation」だからです。
目次
借り換えした方が良い目安はどのくらい?
借入残高が少ないローン、残り期間が短いローン、金利が低いローンは借り換えをしてもメリットが出ないと言われています。
借り換えに適した住宅ローンはどのようなローンでしょう。
金利差1%以上、残高1,000万円以上、残り期間10年以上
一般的には、残高が1,000万円以上で残り返済期間が10年以上ある住宅ローンは1%以上金利が低い住宅ローンに借り換えを行えばメリットが出ると言われています。
もちろん、保証料や手数料によって必ずしもメリットが出るわけではありませんが①金利差1%以上②残高1,000万円以上③残り期間10年以上あれば返済額が今よりも低くなる可能性があるため、シミュレーションを行ってみましょう。
借り換え前にシミレーションで比較をしてみよう
「自分が借りている住宅ローンは借り換えによってどのくらいメリットが出るのだろう?」と素朴な疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?
実際に銀行に申し込みをする前に自分の中で借り換え後の返済額やいくらくらいのメリットが出るのかのイメージをしておくことは必要です。
住宅ローン借り換えのシミュレーションは自分でも行うことができます。
まずは、手元に現在の住宅ローンの返済予定表を用意してシミュレーションを行ってみましょう。
計算サイトを活用する
インターネット上にはローンの計算サイトというものがあります。
代表的なサイトは電卓で有名なCASIOが提供しているこちらのサービスです。
ここで金額や金利や返済期間を入力することで、簡単に住宅ローン借り換えのシミュレーションを行うことができます。
単純な金利差だけではなく諸費用を入れる
では、3,000万円で金利2.5%、借入期間30年で借りた住宅ローンを、借入から10年経過後に、住信SBIネット銀行住宅ローンの変動金利0.428%で借り換えた場合を考えてみましょう。
上記の住宅ローンを10年返済した後の住宅ローン残高は22,369,403円となります。(この数字は手元の返済予定表で確認しましょう)
ちなに、この住宅ローンを完済まで借りた場合には12,672,839円の利息負担が発生し、毎月118,536円の返済となります。
借り換えの際には金利差だけを比較してはいけません。
住宅ローンには以下の諸費用がかかります。
住宅ローン借り換え時の諸費用 |
①保証料または手数料:審査によって異なるor借入額の2.16%
②登記費用:登録免許税(借入額の0.4%)、司法書士報酬5万円〜10万円 ③印紙代:借入額1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円 |
①住信SBIネット銀行の住宅ローン手数料は借入額の2.16%必要になりますので、この場合には約483,000円程度の手数料が発生ます。
②登記費用は登録免許税+司法書士報酬です。
登録免許税は借入額×0.4%ですので約9万円
司法書士報酬は司法書士によって異なりますが5万円〜10万円程度です。
つまり15万円〜20万円程度必要になります。
③収入印紙代は住宅ローン借入額によって異なりますが、1,000万円超5,000万円未満で2万円ですので2万円と理解しておきましょう。
なお、ネットで契約手続きをする場合には印紙代は発生しませんので、住信SBIネット銀行住宅ローンでは印紙代は発生しません。
既存住宅ローン残高と上記の保証料を足すと以下のようになります。
住宅ローン残高22,369,403円+住宅ローン手数料483,000円+登記費用20万円=23,052,403円
住宅ローンは1万円単位の借入になるため、この場合は自己資金5万円を出して2,300万円で借り換えを行うことが一般的です。
では、2,300万円の住宅ローンを0.428%で借り換えた場合の返済額を計算サイトでシミュレーションしてみましょう。
返済額は以下のようにシミュレーションされます。
残り20年間で借り換えをしない場合と借り換えをする場合でどの程度の違いがあるのかを比較してみましょう。
借り換えをしない場合 | 借り換えをする場合 | |
金利 | 2.5% | 0.428% |
毎月返済額 | 118,536円 | 100,010円 |
完済までの利息負担額 | 6,079,237円 | 1,002,426円 |
毎月2万円近く返済額が低くなるため、なんと500万円以上借り換えをしたほうが得になります。
また、借り換えは完済までの期間を短くするという方法もあります。
例えば、上記のシミュレーションの事例で、2.5%の住宅ローンを0.428%へ借り換え、返済額を借り換え前と同程度にした場合を考えてみましょう。
借入額2,300万円、金利0.428%、毎月返済額を118,000円(借換前と同じ)でシミュレーションした場合には、返済回収は203回になります。
借換前よりも37回、つまり3年以上も完済までの期間が短くなることになります。
借り換えをしない場合 | 借り換えをする場合 | |
金利 | 2.5% | 0.428% |
毎月返済額 | 118,536円 | 118,000円 |
完済までの返済回数 | 240回 | 203回 |
完済までの利息負担額 | 6,079,237円 | 842,721円 |
期間が縮まっているため、同じ0.428%で期間を同じにして借り換えた場合よりもさらに利息負担額は少なくなります。
借り換えのシミュレーションは①返済予定表からいまの住宅ローンの残高と返済回数を確認②借り換えにかかる諸費用を計算③計算サイトに数字を入力することで簡単に行うことができます。
まずは銀行へ申し込みをする前にシミュレーションを行うようにしましょう。
登記費用は保証料返戻でペイできることが多い
既存の住宅ローンが保証会社付の住宅ローンである場合には、住宅ローン借入時に支払った保証料が戻ってくることがあります。
保証料は住宅ローン実行時に借入全期間の保証料を前払いしていますので、借り換えによって未経過の部分に関しては払いすぎた保証料として戻ってきます。
単純に期間で按分することはできませんが、借入時に40万円程度支払って、上記の事例のようにまだ残り期間が3分2程度残っている段階で借り換えをした場合には半分程度戻ってくることが多くなります。
一般的に借り換えによって発生する登記費用は保証料の戻り分でペイできることが多いため、手元に現金がある人はとりあえず登記費用は住宅ローンの金額に含めずに手元資金で立て替えておき、後から保証料が戻ってきた時に補填するという方法も行うことができます。
借り換え審査に通りやすい通過の条件とは?
住宅ローンの借り換えを行うためには審査に通過しなければなりません。
基本的には住宅ローンを新規で借りた時と同じような審査が行われ、用意する書類も新規で借りた時と同じくらいの書類が必要になるため、手続きの煩雑さはある程度覚悟しておきましょう。
主な審査基準は以下のようになっています。
返済比率30%〜35%以内
新規の借入であっても借り換えであっても、住宅ローンの借入額は、年間返済額が年収の一定範囲内に収まるように借りなければなりません。
ほとんどの住宅ローンで返済比率は30〜35%以内となっています。
借り換えの場合には、以前住宅ローン審査には通っている人が申し込むものですので、新規で住宅ローンを借りた時よりも年収が下がっていなければ、借り換え時の返済比率で問題になる可能性はほとんどありません。
借り換え前の住宅ローン返済に1度も遅れがない
借り換え前の住宅ローンの返済に1度も遅れがないということも条件になります。
住宅ローンの借り換え時には、返済を行っていた通帳のコピーの提出が求められます。
その通帳の中で、1度でも返済に遅れがあると審査には通過できないことが多くなります。
1回程度の遅れであれば許容されることがありますが、この際には理由を聞かれ「いつもの月と給料日がずれていたので返済日に入金することを忘れてしまった」などの合理的な理由を説明し、銀行や保証会社が納得した場合のみ、借り換えの審査に通過することができます。
健康で団信加入に問題ない
借り換えの際には、借り換え先の銀行の団体信用生命保険へ入り直すことになります。
新規で住宅ローンを借りた時には健康状態に問題がなく、団信に加入することができた場合でも、借り換え時に持病が発生しているような場合には、借り換え時の団信の審査に通過できないことがあります。
借り換え時も健康で団信加入に問題がないという状態が求められます。
筆者が銀行で取り扱った住宅ローンの中には、ほかの審査では全く問題がないのに、新規で住宅ローンを借りてから借り換えまでの間に不健康になってしまい、団信が通らないという理由だけで借り換えができなかったということが何度もあります。
勤続年数は3年以上がベター
住宅ローン審査では、勤続年数は3年以上あれば審査でそれほど問題になることはありません。
5年以上あればプラス評価になる銀行もあります。
新規で住宅ローンを借りてから転職したという人は、勤続年数が3年以上になるのを待ってから申し込みをしたほうが審査では有利になるでしょう。
担保評価額の2倍までは融資をしてくれることが多い
住宅ローンは担保評価額の範囲内までしか融資をしないのが基本です。
新規で住宅を購入する時には、建築価格や販売価格がそのまま担保評価額とされることが一般的ですので担保評価額が問題になることはほとんどありません。
しかし、借り換えの場合には、築年数がそれなりに経過しているため、ほとんどのケースで住宅ローン残高を担保評価額が下回っていることが多いのです。
このため、借り換えの審査では、担保価格の2倍までは融資額として認めている住宅ローンが多くなっています。
借り換え時には意外にも担保評価額で引っかかってしまうということはあまりありません。
リスケした住宅ローンの借り換えは断られることが多い
返済が苦しくなった時に最終期日を延長して毎月の返済額の軽減を図るリスケジュールという措置を住宅ローンでも行うことができます。
筆者もリーマンショックの際などには製造業勤務の人などの住宅ローンを何件もリスケジュールしたことがありました。
このような住宅ローンを借り換えることは非常に難しいと考えたほうがよいでしょう。
リスケジュールをすると、その住宅ローンを借りている銀行内部では、要注意の債権となり、多くの貸倒引当金を積むことがあります。
借り換える銀行にとっては、この住宅ローンを借り換えるということは、他行の要注意の債権を自行で引き受けるということになってしまいます。
このため、他行でリスケを行った住宅ローンを借り換えるということは基本的に不可能です。