保険の相談は誰にする?どこがいい?

生命保険会社の破たん&外資系保険会社の日本からの撤退時に保障はどうなる?

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生命保険会社が破たんしてしまったら!?どうなる私の保険!?

保険の加入を考える時に気になることのひとつに、「生命保険会社の破たん」があるのではないでしょうか。保険は、10年、20年、一生涯と、長い間かけていくものです。すると、ある日突然「破たんしました」なんてこと、あってはならいことですよね。

もし、生命保険会社が倒産(破たん)したり、外資系生命保険会社が日本から撤退してしまったりしたら?私たちの保険はどのようになってしまうのでしょうか?入院給付金は?死亡保険金は?すぐに保険を解約できる?そんな疑問に、ファイナンシャルプランナーがお答えします。

目次

経営や破綻のために生命保険会社も「保険」をかけている

生命保険会社も実は、いくつか「保険」をかけています。
ひとつは、日々の保険金支払いに備えて、契約者から預かった保険料を運用して増やすことです。二つめは再保険の加入、そして三つめは免責事項です。

生命保険会社は、将来の保険金や給付金の支払いに備えてお金をストックしています。これを「責任準備金」といいます。とはいえ、加入者から預かった保険料をそのまま置いておくのではなく、運用して増やしています。

そのため、何かあったとき、保険金や給付金として現金で持っているわけではありません。もちろん、保険金や給付金の素早い支払いのために多少は現金で持っていますが、大きな事故や災害などで保険金や給付金支払いが急に多額になった場合、対応ができなくなってしまう可能性があります。そんな時のために、生命保険会社は、多額の保険金が発生する契約については再保険というものに加入し、大きな支出に備えているんです。

再保険があるとはいえ、想定外の災害や戦乱(クーデターなど)で想定していた以上に保険金や給付金の支払いが増えてしまうと、他の保険金や給付金支払いに支障をきたし、破たんしてしまうリスクもあります。そのため、生命保険の約款で、免責事項(保険金や給付金の支払いを免れる)として、
・戦争やその他の変乱
・自身・噴火など(保険金削減なども含む)
をあげています。
つまり、想定外の戦乱や災害などであまりにも多額の保険金・給付金支払いになると、保険金や給付金の支払い対象外になる可能性や、支払われる金額が削減される可能性があるということです。せっかく保険に加入しているのに、少し心配ですよね。

では実際にどれくらい大きな災害だと免責になるんでしょうか。実は、未曾有の大災害と言われる阪神大震災や東日本大震災でも、各保険会社は保険金や給付金支払いについて免責を適応しない、つまり、通常通り支払うことを、地震発生から比較的早くに決定しています。

もちろん、それまでの台風や大雨による浸水といった自然災害でも、各保険会社は保険金や給付金の支払いを通常通り行っています。さらに、被災者には保険金や給付金請求に必要な書類を簡素化したり、当面の保険料の払い込みを猶予したり、と、被災者のサポートにも力を入れています。

 

生命保険契約者保護機構で救済される部分もある

日本国内で営業する生命保険会社は、生命保険契約者保護機構に加入しています。これは、保険の加入者を守るための仕組みのひとつで、万が一、生命保険会社が破たんした場合に、生命保険契約者保護機構が救済措置をとる、というものです。

生命保険会社が破たんすると、生命保険契約者保護機構が他の保険会社に、契約の維持管理を引継ぎできないかを呼びかけます。ここで手を挙げた保険会社に、契約が引き継がれます。また、契約を引き継ぎにかかわる資金を援助もします。

しかし、引き継いでくれる保険会社が無い場合、生命保険契約者保護機構が契約を維持管理したり、契約の維持管理のための会社を設立したりと、対処をしていきます。その際、破たんした生命保険会社の契約については、解約返戻金が削減されたり、予定利率が引き下げられたり、といったことも起こりえます。

実際、日産生命が破たん後、あおば生命に契約が引き継がれ、さらにプルデンシャル生命が契約の維持管理を引き継いでいます。ただし、契約内容通りに給付が補償されるとは限りません。

たとえば、破たん後すぐに解約すると解約返戻金が減らされたり(早期解約控除といいます)、予定利率が変更されて契約当初よりも満期保険金の受取額が少なくなったりして、契約者が不利益を被ることもあります。

参考:生命保険契約者保護機構
http://seihohogo.jp/

 

保険会社の発祥と破綻の歴史

日本に初めて生命保険の制度が福沢諭吉によって西洋から輸入されたのが、明治時代はじまってすぐの頃でした。そこから日本で初めての生命保険会社である明治生命(現在の明治安田生命保険相互会社)が誕生したのが1881年のことです。

以来130年にわたって、多くの生命保険会社がうまれ、経営統合したり、経営がうまくいかなくなったり、外国資本の生命保険会社が参入したりして、現在では約40社が日本で生命保険業を営んでいます。(少額短期保険は省く)

第二次世界大戦後、多くの保険会社が営業し、高度経済成長にともなって利益を増やしていきましたが、1990年代にバブルが崩壊してから資本力の比較的少ない生命保険会社が窮地に立たされます。そして、東邦生命、協栄生命、大和生命、日産生命などの生命保険会社が次々と経営不振になり、破たんしていきました。なぜこのタイミングで次々と破たんしたのでしょうか。実は、生命保険そのものの仕組みに原因があります。

生命保険は、保険会社が今後の金利の動向をあらかじめ予測して、契約者から預かった保険料を運用する利率を決めています。これを予定利率といいます。保険商品の多くが、契約時に予定利率が固定され、変動することはありません。つまり、高い利率で契約したものは、その利率を維持していかないといけないことになります。

高度経済成長期後は順調に上がっていた金利も、バブルが崩壊してしまうと軒並み下がる一方でした。お客様から預かった保険料を運用しようにも、契約時に約束した利率で運用することが難しくなり、生命保険各社が運用に苦しむことになりました。資本に余裕のない保険会社や、バブル崩壊後も高い予定利率の商品を販売し続けていた保険会社などはみるみるうちに経営に苦しくなり、結果、破たんしてしまうことになったのです。

近年の超低金利時代も、生命保険会社にとっては大きな痛手となっています。お客様から預かった保険料の運用が非常に厳しいため、貯蓄性の高い商品(終身保険、年金保険など)は、保険会社によっては販売停止にしたり、保険料を上げざるを得なくなったり(加入者にとってはメリットが少ない)、と、苦戦を強いられています。

たとえば、月々の保険料が1万円の商品があるとして、予定利率が5%だと、加入者が払う保険料は1万円の5%引きの9,500円で良いことになります。しかし、予定利率が1%だと、加入者が払うのは1万円の1%引きで9,900円。予定利率5%で設定しているとそれだけ多くの運用をする必要が保険会社にはあるんです。

加入する側も、「個人年金に加入していれば大丈夫」というような、安易な判断はせず、様々な金融商品(外貨運用、投資信託や確定拠出年金など)も視野に入れながら将来のための貯蓄をする必要があります。

参考:一般社団法人 生命保険協会「会員会社の変遷図」
http://www.seiho.or.jp/member/chart/pdf/chart_01.pdf

 

生命保険会社が破たんしたとき、保険金や給付金はどうなる?

生命保険会社が破たんしたらまず、生命保険契約者保護機構が、破たんした生命保険会社に資金援助して契約の維持や補償金の支払いなどに備えます。また、救済してくれる会社を募り、その会社にも契約の移転などに関わる資金の援助を行います。

救済する会社が現れない場合は、生命保険契約者保護機構が契約の維持管理などを行うため、死亡保険金や給付金の支払いなどが滞ることなく行われることになります。そのため、契約している生命保険会社が破たんしても、契約がすべて水の泡になるわけではありません。

しかし、生命保険会社が破たんするということは、契約者から預かった保険料の運用に無理をきたしていることが多く、契約時点での運用利回りを保証することができなくなります。つまり、契約時点で予定利率が5%くらいあっても、破たん後は予定利率が1%程度にまで下がってしまう可能性もあるんです。

ということは、破たん後に満期を迎えても、契約当初の満期保険金は約束されないことになります。破たんした生命保険会社の契約については、責任準備金の90%までは原則補償されることになっていますが、満期保険金や解約返戻金の90%が保障されるとは必ずしも言い切れません。

とはいえ、加入している生命保険会社が破たんしてしまうと、自分に今後何かあった場合果たしてきちんとフォローしてくれるのか不安になるのは仕方のないことですよね。そのため、生命保険会社が破たんすると、一斉に解約する動きが出てきます。そうなってしまうと、生命保険契約者保護機構の資金援助があるとは言っても多額の資金が出て行ってしまいます。

そのため、早期に解約をすると、解約返戻金や満期保険金などは、早期解約控除といって、数%が控除されてしまう場合もあります。(保険会社や契約内容により、早期解約控除の割合や期間は異なります。)

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険会社が破たんした場合、契約はどうなるの?」
http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/life_insurance_q21.html

 

外資系生命保険会社の撤退は国内保険会社の破たんと同じ?

日本で初めて外資系生命保険会社が営業を始めたのは今から40年ほど前のことです。メットライフ生命の前身であるアリコジャパンが最初でした。そこから数多くの外資系生命保険会社が日本での営業を広げていきました。

現在、アフラックやプルデンシャル生命、メットライフ生命など多くの外資系生命保険会社が日本で営業をしています。日本で営業する生命保険会社は、日本生命や住友生命のような国内資本であれ、アフラックのような外国資本であれ、日本の法律(保険業法や金融商品販売法、個人情報保護法など)を守ることが義務になっています。また、生命保険契約者保護機構にも加入しています。

外資系生命保険会社が日本に上陸して40年ほどですが、中には撤退した会社もあります。直近では、アメリカで最大規模の保険会社であるAIGが日本から撤退することになったため、AIG富士生命からFWD富士生命に社名変更しています。また、アリコジャパンもリーマンショックの折にアメリカのメットライフ社に売却され、現在ではメットライフ生命となっています。

生命保険会社の撤退、合併の概略

旧社名 現社名
AIG富士生命保険株式会社 FWD富士生命保険株式会社
損保ジャパンひまわり生命株式会社

日本興亜生命保険株式会社

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社

ハートフォード生命保険株式会社

オリックス生命保険株式会社
アリコジャパン メットライフ生命保険株式会社
日本団体生命保険株式会社

アクサ生命保険株式会社

アクサ生命保険株式会社

 

撤退する際には、次に引き受ける会社に撤退する会社の株式を譲渡し、契約についてもそのまま引き継ぐことになります。これは、破たんしたわけではないため、契約内容に不利益が出ることはありません。もちろん、給付金や保険金なども契約の通り支払われます。

加入者としては、会社の看板が変わるだけなので、銀行でいう統合と同じような感覚です。たとえば、旧三和銀行の口座を持っていたとして、三菱UFJ銀行で預金を下ろすことになんの支障もないのと同じです。

「外資系生命保険会社はいざという時には撤退してしまうから安心できませんよ」と言っている保険外交員も少なからずいるようですが、外資系生命保険会社も日本で営業する以上は日本の法律を守っており、そう簡単に「営業終了、ではさようなら」というわけにはいきません。

国内資本の会社、外資系の会社問わず、生命保険の契約者を守るための仕組みはきちんと整っていることをご理解くださいね。

参考:FWD富士生命保険株式会社
https://www.fwdfujilife.co.jp/jp/about/company
参考:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社
http://www.himawari-life.co.jp/company/introduction/history/
参考:オリックス生命保険株式会社
http://www.orixlife.co.jp/about/company/history.html
参考:メットライフ生命保険株式会社
http://www.metlife.co.jp/about/corporate/history/index01.html
参考:アクサ生命保険株式会社
https://www.axa.co.jp/about-axa/history

 

保険会社の安全性 経営安定度をチェックするポイント

ここまでで、生命保険会社の破たんの歴史や、破たんした場合の対応についてみてきました。しかし、どうせ加入するなら、破たんの心配がない生命保険会社のほうが安心ですよね。

では、どうすれば破たんの心配のない会社を選ぶことができるんでしょうか。会社の評価基準には主に2つあります。

支払い余力

ソルベンシー・マージン比率とは、生命保険会社が想定外の災害などで保険金支払いが多額になったときに対応ができるかといった数値のことです。この数値が大きいほど、支払い余力がある、ということになり、生命保険会社の健全性の指標になります。

しかし、ソルベンシー・マージン比率は、年度ごとの新規の契約が多いと減る場合もあるため、新規契約を停止している会社はソルベンシー・マージン比率が高くなる傾向があります。

主な生命保険各社のソルベンシー・マージン比率

保険会社名 ソルベンシー・マージン比率
日本生命保険相互会社 933.9%
住友生命保険相互会社 826.9%
第一生命保険株式会社 871.5%
明治安田生命保険相互会社 953.3%
三井生命保険株式会社 914.5%
アフラック 956.1%
オリックス生命保険株式会社 991.2%
ソニー生命保険株式会社 2568.8%
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険

株式会社

1771.4%
ライフネット生命保険株式会社 2689.5

2017年12月現在 著者調べ

格付け

保険会社の中には、民間の格付け会社に格付けをしてもらっているところがあります。格付け会社は、格付け会社独自の基準で様々な企業の格付けを行っています。スタンダード&プアーズ(S&P)や、Moody’s、R&I(格付投資情報センター)などが主な格付け会社です。

格付けは、信用度の高い順に、A、B、Cといった記号で表わされています。

主な生命保険会社の格付け

保険会社名 S&P Moody’s R&I
日本生命保険相互会社 A+ A1 AA
住友生命保険相互会社 A A1 A+
第一生命保険株式会社 A+ A+
富国生命保険相互会社 A A2 AA‐
三井生命保険株式会社
アフラック A+ Aa3
オリックス生命保険株式会社 A‐ A+
ソニー生命保険株式会社 A+ AA
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社 A+ AA
ライフネット生命保険株式会社

2017年12月現在 著者調べ

いかがでしたか?今回は、生命保険会社の破たんについて、破たんを防ぐための生命保険会社の企業努力や、万が一破たんしてしまった場合の対応、加入前に気を付けたいポイントをまとめてみました。

生命保険は、多くの方が一生涯契約をするため、家の次に高い買い物と言われます。生命保険は、家や車のように形があるものではないですが、万が一の時には家族を守り、将来の老後の不安を解消するひとつのツールでもあります。今回のまとめを通して、皆様がより良い人生を送るためのお手伝いができれば幸いです。

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