住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)と本審査に分かれています。
住宅ローンの本審査と仮審査(事前審査)の違いはどのような点にあるのでしょうか?
基本的には審査している内容は変わりません。その手法が異なるのですが、ここでは仮審査について詳しく見ていきます。
目次
仮審査の日数 期間
仮審査は早い住宅ローンの場合には最短即日で回答があります。
保証会社は仮審査申込書の内容をスコアリングのような審査を行うだけであるためです。
また、遅い場合でも3営業日から1週間程度で審査の回答が行われます。
仮審査の回答が住宅ローン案件によって早い場合と遅い場合があるのは、仮審査で審査に通すかどうかの判断に時間がかかっているためです。
場合によっては保証会社から銀行に対して「この顧客は親や配偶者に収入がないか」などの問い合わせがあることもあります。
このようなやりとりを保証会社と行っていると審査の回答に時間がかかってしまうこともあります。
住宅ローン仮審査に落ちた結果の理由
住宅ローンに申込を行うと、最初に仮審査が行われます。
仮審査では、住宅ローンの審査のほぼ全てのポイントをざっくりと審査を行います。証明書類などは基本的に仮審査時には必要ありません。
住宅購入希望者にとっても、ハウスメーカーにとっても、「お金を借りることができる人かどうか」ということを早期に知ることは非常に重要です。
また、住宅ローンの審査で必要になる書類は非常に多岐にわたるため、せっかく書類を集めたのに、どうやっても住宅ローンを借りることができない人だったら、書類集めの労力や費用は無駄になってしまいます。
住宅ローンは審査の時間や書類の数が多いため、先に「融資の話を進めてもよい人かどうか」の審査を行うのです。この審査が仮審査になります。
そのため、仮審査は通常「仮審査申込書」と「本人確認書類」だけを用意すれば審査を行ってくれます。
信用情報が原因で審査に落ちる
住宅ローンでもそのほかのローンでも最初に審査を行う項目は信用情報です。
信用情報では主に以下の4つの項目を審査しており、ここで「問題がある」と判断された人はこの時点で他の審査には進むことはできません。
また、保証会社が「問題がない」と判断する基準は個人が借りるあらゆるローンよりも非常に厳しい基準で行われます。
①ブラック
ブラックの人は絶対に住宅ローンを借りることはできません。この時点で確実に審査落ちになります。
具体的には信用情報に、自己破産・個人再生などの官報記載の情報が記録されている人、債務整理(任意整理)、長期延滞、強制解約などの金融事故の情報が記録されている人は、ブラックリストとみなされて審査には通らないことになります。
②多重債務
住宅ローンは他債務に対しても非常に厳しい目線で審査を行います。
カードローンやフリーローンなどの使い道が自由で無担保のローンの借入金は1本(1社)が限度です。
また、銀行住宅ローンは消費者金融からのキャッシングある人には対して大きくマイナス評価を行います。
住宅ローン借入前には消費者金融からの借入は完済しておいたほうが無難です。
さらに、住宅ローン審査においては、使っていないカードローンの枠があるだけでも他債務があるとみなされることが一般的です。
住宅ローン申込前には使っていないカードローンの枠も解約しておいたほうがよいでしょう。
③延滞中
クレジットカードや借入金を現在延滞中という場合にも、延滞中という情報は信用情報へ記録されます。
延滞中は住宅ローンのみならずあらゆる審査に通過できません。
④クレジットヒストリーに遅れがある
信用情報には借入金やクレジットカードなどの返済状況が過去24ヶ月分記録されています。
ここで遅れがあると審査に落ちることがあります。
カードローンなどは年に数回の遅れであれば審査に通ることもありますが、住宅ローン審査に関しては、基本的に過去24ヶ月1度も遅れがない状態が求められます。
「そろそろマイホームかな」と考えてから24ヶ月は期日通りにクレジットカードなどの支払いを継続してから住宅ローンに申し込んだほうが審査には通りやすくなります。
属性がよくても信用情報で1発で審査落ちに
信用情報の審査は、審査の入り口で必ず行われる審査です。
なぜ入り口で行うかといえば、信用情報に問題がある人は他の属性が良好でも絶対に審査には通過できないため、信用情報に問題がある人を最初に切ってしまうために行われるのです。
審査を行うにも銀行や保証会社の手間がかかりますので、先に絶対に審査に通過できない人を選別しているのです。
信用情報での審査落ち対策は回復を待つしかない
信用情報が原因で仮審査に落ちた人に即効性のある解決策はありません。信用情報の回復を待つしかありません。
ブラックの人で官報記載の事故情報がある場合には事故から10年は信用情報は回復しません。
その他の情報が5年で回復します。
また、クレヒスが問題で審査落ちした人は24ヶ月は期日通りの返済を継続しましょう。
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返済比率が原因で審査に落ちる
住宅ローンの融資額を決定するための重要な指標の1つが返済比率です。
住宅ローンはカードローンなどのように、借入額が年収の3分の1とか2分の1という考えではありません。年間の返済額が年収の何%なのかという基準で審査を行っています。
この、基準を返済比率と言います。
返済比率は、借入額と、返済期間と、年収さえわかれば簡単に算出することができるため、仮審査でもチェックされます。
年間返済額が年収の30%が目安
住宅ローンによって異なりますが、ほとんどの住宅ローンで、許容される返済比率は年収の30%以下です。
年収が600万円の人であれば、年間返済額は180万円まで許容されます。
なお、この返済額の中には他債務の返済額も含まれていますので、カードローンや自動車ローンなどで他債務がある人は、住宅ローンに充てることができる年間返済額も少なくなります。
この人が毎月2万円返済のカードローンを借りていた場合には、カードローンの年間返済額は2万円×12ヶ月=24万円となります。
したがって、住宅ローンの返済に充てることができる金額は180万円−24万円=154万円となります。
申し込んだ住宅ローンの年間返済額が銀行が決めている返済比率をオーバーする場合には、審査に落ちるか減額となることもあります。
返済比率落ちをクリアする対策
返済比率はちょっとした工夫で基準内に収めることができます。
主な方法は以下の3つです。
①購入物件のレベルを下げる
購入する物件のレベルを下げて、借入額を少なくし、年間返済額を少なくすることで返済比率を基準内に収めるという方法です。
返済比率とは、無理なく返済できるように銀行が設定した基準です。
この基準をオーバーしているということは、そもそも身の丈にあっていない物件を購入しようとしているということですので、レベルを下げるほうがよいかもしれません。
また、返済比率ギリギリに住宅ローンを組んだ場合、一般的には返済と生活は非常に苦しくなります。
生活に支障のない返済比率は20%程度と言われているため、後から生活が苦しくならないためにも、返済比率オーバーの場合には物件のレベルの引き下げを検討するか、貯蓄を行い、自己資金を貯めてから少ない金額で住宅ローンを組むということを検討しましょう。
②返済期間を長くする
年間返済額は借入期間を長くすることでも少なくなります。
例えば借入額3,000万円・金利1%のローンを借りた場合を考えて見ましょう。
25年返済の場合:毎月返済額 113,062円、年間返済額 1,356,774円
35年返済の場合:毎月返済額 84,686円、年間返済額 1,016,232円
借入期間を延ばしただけで、年間返済額は30万円以上も下がります。
こうすれば返済比率を基準内に収めることができます。
ただし、期間が延びた分、利息の負担額は大きくなりますし、完済年齢が70代になるようなこともあります。
若くて所得の低い人がこの方法で住宅ローンを組むことがよくありますが、利息の負担や完済時年齢を考えた場合には、あまりおすすめできる方法ではありません。
③所得合算を行う
住宅ローンによっては、配偶者や親や子供などの所得を借主の所得に合算できることがあります。
住宅ローンによって、家族の所得をどの程度合算できるのか、どの家族まで合算が認められるのかは異なりますが、返済比率が基準に満たない人は所得合算できる住宅ローンを探してみましょう。
属性情報が原因で審査に落ちる
勤務先や、勤続年数などの属性が問題で仮審査で落ちてしまうことも珍しくありません。
住宅ローンの申込基準は勤続年数1年以上と書いてあることが多いですが、例え申込基準を満たしていても審査落ちになる可能性は十分にあります。
基本的には以下のポイントを満たせるようにしておきましょう。
勤続年数は3年程度は必要
会社員であれば勤続年数は3年以上あったほうがよいでしょう。
3年未満だからというだけで審査に落ちてしまうことはありませんが、そのほか項目で年収が低いとか、クレヒスに遅れが多いというようなマイナス要因がある場合には審査落ちになる可能性は十分にあります。
勤続年数3年未満というのは離職率が非常に高い年数ですので、今後も安定して現在の収入が望めるという判断ができないのです。
なお、給料が高く、離職率の低い、公務員や上場企業会社員は勤続年数が3年未満でも問題なく審査に通ることがあります。
自営業者や会社役員は開業後3年は必要
自営業者や会社役員というのは、事業規模が小規模ですので、まずは今後も継続して営業していく事業であると判断されることが重要になります。
その基準の1つが営業年数3年以上です。
最低でも3年は営業していないと、「今後も継続していくことができる事業」と判断してもらえません。
そのため、開業後すぐに住宅ローンを組むということは不可能です。
審査落ちを防ぐには年収が安定していることが必要
自営業者や会社役員は、事業で毎年利益を出していることが非常に重要になります。
儲かっている年もあれば儲からない年もあるという不安定な人は、今後何十年も返済が継続する住宅ローンの返済を続けることができるという保証がありません。
このため、3年以上営業し、3年間黒字を継続しているということが最低の条件になります。
保険販売員などの給料の中で歩合の比率が多い職業の方も、3年以上は安定した所得を計上する必要があります。
また、自営業者は節税のために所得を低く申告していることが多いため、返済比率に満たないことが最も多い属性です。
実態はどうであれ、審査されるのは申告所得ですので、住宅ローンの申込から遡って3年は所得が返済比率を満たす程度には申告しておきましょう。
会社の正社員ではない契約社員の人の住宅ローン審査は通らない?
住宅ローン審査において、勤務先の確認は健康保険証から行われることが一般的です。
このため、健康保険証に勤務先の記載があれば契約社員でも、「その会社に勤務している」と判断され、正社員と変わらない審査を受けることができます。
ちなみに、契約社員が当該会社や組合の社会保険に加入できる条件は契約期間が2ヶ月を超える場合とされています。
そもそも、住宅ローンは勤続年数が2ヶ月では審査には通過できないため、基本的には契約社員で、正社員を変わらない社会保険に加入していた場合には、正社員を同じように審査では扱われると考えた方がよいでしょう。
しかし、申込書に「勤務形態」などを記入する必要のある住宅ローンの申込書である場合には、そこで正直に「契約社員」と申告することで事実が分かってしまいます。
もちろん、虚偽の申告はしてはいけませんので、この場合は正しい申告をしましょう。
このような申告の必要がない場合には、自分から契約社員と言わなければ「契約社員である」ということは銀行側にはわかる心配は基本的にはありません。
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担保割れで審査に落ちる
仮審査では、担保物件の面積や地目や基準地価などからざっくりとした担保評価を行います。
ここで、借入額が担保評価額に満たない場合には、審査に落ちるか減額となることがあります。
融資限度額は担保評価額の範囲内
住宅ローンの融資限度額は担保評価額の範囲内までしか融資しません。
自己資金があったほうが住宅ローン審査で有利になると言われるのは、自己資金があれば自己資金分だけ担保余力が生まれるためです。
反対に借入額が担保評価額を上回ってしまう担保割れという状態になって審査に落ちることが珍しくありません。
中古物件の場合には担保割れが原因で審査に落ちることも
新築物件の場合には、購入価格=担保評価額となることが一般的ですので、担保割れを心配する必要はほとんどありません。
しかし、中古物件の場合には、建物の評価額が販売価格よりも著しく低くなることが一般的ですので、中古物件購入の際には、担保が原因で審査に落ちたというケースを筆者は何回も目にしたことがあります。
担保割れでの審査落ち対策
担保割れとなった場合には、以下の2つの方法で審査に通過できることがあります。
①追加担保を用意する
購入する物件の他にも追加の担保を用意する方法です。
親や家族が持っている不動産を担保とすることで、担保割れの状態を解消することができれば住宅ローン審査に通過できることもあります。
なお、住宅ローンによっては、居住の用に供する不動産以外は追加担保を認めないとしている銀行も存在します。
追加担保を用意できる人は、当該不動産を追加担保として取り扱ってくれるかどうかを確認してから申込を行いましょう。
②借入額を担保評価額の範囲内まで下げる
返済比率と同様に、自己資金を貯めて、借入額を担保評価額の範囲内まで下げるという方法があります。
また、そもそも担保割れの物件というのは、一般的な評価額よりも高く販売されているということですので、決してお得ではありません。
お買い得で担保割れにならない物件を購入するという方法もありますので、そちらの方法も検討してみましょう。
家族の状況によって審査に落ちることはある?
審査の際には本人以外の信用情報は照会しませんし、本人以外の情報で銀行が取得するのは名前などの家族状況程度です。
このため、夫、妻、親などの家族の信用情報などを原因として審査に落ちるということはまずありません。
しかし、家族を連帯保証人にする場合や連帯債務者とする場合だけは、家族の信用が問題になり審査に落ちることはあり得ます。
連帯保証人は審査落ちの対象になる
住宅ローンは基本的に不要な保証人は要求しません。
しかし、以下の3つのいずれかに該当する場合には、家族などが連帯保証人や連帯債務者として要求されることがあります。
①所得合算者
家族の収入を返済比率算出のための所得に合算する場合には、その合算者を連帯保証人とすることが一般的です。
例えば、夫の住宅ローンに妻の所得を所得合算する場合には、妻が連帯保証人となります。
②担保提供者
親などの家族が所有する不動産を担保に使用する場合には、当該不動産の所有者は連帯保証人とすることが一般的です。
よくあるケースとして、親が持っている土地の上に子供が住宅を新築する場合には、親がこの住宅新築のための住宅ローンの連帯保証人となります。
③夫婦共有名義で住宅を購入する場合
最近多いのが夫婦の共有名義で住宅を所有し、住宅ローンも共有名義で借りる方法です。
この場合には、連帯債務という形になり、夫が主たる債務者である場合には連帯債務者に妻がなります。
連帯保証人も連帯債務者も住宅ローンの借主と同じだけの返済義務を負います。
このため、信用情報などの審査も行われ、連帯債務者や連帯保証人がブラックであったような場合には、それを原因として住宅ローンの仮審査に落ちてしまうこともあります。
連帯債務者や連帯保証人でもないのに、家族を原因として仮審査に落ちてしまうケースはありません。
仮審査で落ちたのに本審査通過も可能性あり
仮審査では落ちたのに、銀行側が本審査で保証会社を説得したり、申込方法を変更したりして本審査では住宅ローンの審査に通過できることもあります。
申込内容を変更し再申込
申込内容を審査に通りやすいように変更して再申し込みすることで、仮審査では否決であっても本審査では通過できるケースがあります。
具体的には以下の方法を再申込時に採用して申し込みを行う方法です。
①所得合算
本人の単独の所得での申し込みから、親や配偶者の所得を合算し、返済比率を基準内に収めるようにして、再度申込を行う方法です。
②追加担保
担保割れで仮審査で落ちた場合には、親などの不動産を追加担保として再度申込を行うことで、本審査では審査に通過できることがあります。
審査に通すよう、保証会社と交渉することも
仮審査で否決となった場合でも、銀行が「絶対に返済には問題ないから保証してほしい」と保証会社と個別に交渉することもあります。
筆者が以前経験したケースでは、保証会社が複数の消費者金融からの借入があることを理由に仮審査で否決となった顧客がいました。
しかし、その顧客は本人と親名義で数千万円の預金を持っていたため、その旨を伝え、保証会社に保証をしてほしいと依頼したところ、保有しているカードローンの枠を全て解約するのであれば保証するという回答を得ることができました。
保証会社は直接顧客と接しているわけではないため、申込書と信用情報から得られる情報からしか顧客の判断ができません。
しかし、このように、銀行だからこそ分かっている情報を伝えることで、仮審査の結果がひっくり返ることもあります。
いずれにせよ、このようなイレギュラーな対応は、顧客を面と向かって接している地方銀行や信用金庫などでは行なってくれますが、マニュアル通りの審査が行われるネット銀行などでは難しいでしょう。
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