住宅ローン審査に落ちてしまった人は再申し込みをしても意味があるのでしょうか?
また、落ちた理由は教えてもらうことは可能なのでしょうか?
目次
住宅ローンは一度落ちた後に再申し込み可能?
住宅ローンはカードロ―ンとは異なりますので、基本的には一度審査に落ちてしまった銀行でも、審査落ちの原因さえ解決できれば審査に通過することは可能です。
筆者はむしろ、過去数年前に審査に落ちた人に再度申込の営業をかけて、実際に住宅ローンを実行したということが過去何回もあります。
審査に落ちて何年後なら今度は審査に通るという明確な基準は存在しませんが、数年たてば審査否決の理由も解決できていることも多いため、過去の申込書を見て、「今なら大丈夫」と判断できた人には借り換えの営業を行っていました。
このため、過去の住宅ローン審査に落ちた人でも審査落ちの原因が解決していれば問題なく住宅ローン審査に通過できることもあります。
再申し込みが不可能な場合
当該銀行で住宅ローン審査に落ちたばかりの人や、過去にその銀行でトラブルがあったような人は申込段階から断られてしまうことがありますので、この場合には他の銀行へ申し込んだ方がよいでしょう。
再審査にはどのくらいの期間を空けた方がよい?
一度住宅ローンの審査に落ちた人が、再び住宅ローンに申し込みをする場合には、どのくらいの期間を空けるべきなのでしょうか?
これは、どの銀行へ再審査を申し込むのかということによって異なります。
他社に申し込む場合にはすぐにでもOK
住宅ローン審査に一度落ちた銀行以外の他の銀行へ再審査を申し込むのであれば、審査落ち後、すぐに再審査に申し込んでも全く問題はありません。
住宅ローンにおいては、審査に通過できる人も複数の銀行へ申し込みを行い、最も条件の良い銀行から借りるということが当たり前のようになっています。
最初から1つの銀行に絞って申し込みをするようなことはほとんどありません。
そのため、住宅ローン審査においては、「住宅ローンへの申込情報があっても問題にはならない」のです。
最初に金利が低い住宅ローンに申し込みを行い、その後は金利の高い銀行へ住宅ローン再審査を申し込むのではあれば、審査落ち後すぐに申し込みを行なっても、特別審査で不利になるようなことはありませんし、別の銀行では審査に通過できることもあります。
実際、筆者が取り扱った住宅ローンが銀行では審査に落ちたものの、その後その顧客がより金利の高い信用金庫の住宅ローンに申し込みをしたところ、あっさり審査に通過できたということは何回かありました。
同じ銀行へ申し込むのであれば、審査落ちの理由を改善してから
同じ銀行へ住宅ローンを申し込むのであれば、審査落ちの理由を改善してからの方がよいでしょう。
同じ銀行では、審査基準は同じですので、何回申込をしても審査落ちの理由を改善しない限りは審査結果も変わらないためです。
同じ銀行で複数のローンを扱っている場合にはすぐに再審査可能
銀行によっては、金利や保証会社の異なる複数の住宅ローンを取り扱っている場合があります。
この場合には、商品や保証会社の違いに応じて、審査基準も異なるので、すぐにでも再審査に申し込むことは可能です。
実際に筆者が勤務していた銀行も、保証会社が異なる2つの住宅ローンを扱っており、A社が保証している住宅ローンの審査に落ちた場合には「B社保証の住宅ローンに申し込みをしてみませんか?」と勧誘することが一般的で、実際に、片方の保証会社の住宅ローンでは審査に通過できたということが何回かありました。
筆者の場合には、最初から2つの住宅ローンの申込書をもらっておき、すぐに再審査に申し込むことができるようにしていました。
このように、複数の住宅ローン商品があるのであれば、同一銀行でもすぐに再審査に申し込むことは可能ですし、銀行もそれを望んでいます。
住宅ローンという金額の大きなローンを銀行はなんとか実行したいと考えていますし、他行に流れないために何とか審査に通過できるように努力もしてくれます。
住宅ローン再審査ではどこを見られる?
住宅ローンの再審査では、特にチェックされる点などはあるのでしょうか?
基本的に、再審査であろうと初回の審査であろうと、審査する内容や審査の方法も変わりません。
再審査の時でも、銀行は初回と同じ手順で同じ基準で審査を行っています。
仮審査でチェックされることと、本審査でチェックされることについて確認しておきましょう。
仮審査チェックされること
仮審査は保証会社付きの住宅ローンであれば、保証会社が保証してもよいかどうかのチェックを行い、保証会社がつかない住宅ローンであれば、「お金を貸しても大丈夫か」「いくらまで貸すことができるのか」ということをチェックしています。
保証会社付きの住宅ローンでは、保証会社の保証さえ得られれば銀行に損失はないため、実質的には、審査でも最も重要な部分は仮審査で行われることになります。
チェックされる項目は主に以下の内容です。
- 信用情報
- 返済負担率
- 担保評価
- その他属性に応じてリスクを図る
これらの審査は以前の審査でもチェックされている項目ですが、再審査の際にも全て1から審査を行います。
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本審査でチェックされること
仮審査では、返済負担率や担保評価などをチェックしていますが、仮審査では所得証明書や不動産登記簿謄本の提出は必要なく、申込者の自己申告に基づいて審査を行います。
そのため、本審査では、所得証明書や登記簿謄本などの資料を全て提出してもらい、仮審査でチェックした内容に間違いがないかということをチェックします。
以前、住宅ローンで必要書類を提出した人も、再審査の際には、たとえ内容に変更がなかったとしても同じ書類を提出する必要があります。
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再審査で増額されるのはどんなケース
以前に住宅ローンに申し込みをしたときには審査に通過したものの、希望金額に届かなったというケースも少なくありません。
そこで、希望金額を借りるために、再審査においては以前の借入可能額よりも増額したいという場合、どのような条件を満たせば再審査で増額されるのでしょうか?
以前よりも年収が上がった
年収が以前よりも上がっている場合には、増額される可能性があります。
住宅ローン審査において年収は非常に重要なファクターです。住宅ローン審査には、返済負担率という考えがあるためです。
返済負担率とは、住宅ローンの年間返済額が年収の何%なのかという考えで、通常は、30%〜35%以内と決まっています。
つまり、年収400万円の人であれば、住宅ローンの年間返済額が120万円〜140万円まで許容されるということです。
仮に金利1%で年間返済額120万円のローンを30年返済する場合の住宅ローン借入額は約3,100万円です。
この人の年収が500万円に上がった場合を考えてみましょう。
返済負担率30%の場合、許容される年間返済額は150万円ですので、同条件でシミュレーションした場合、住宅ローンの借入可能額は約3,880万円になります。
このように、年収が上がれば再審査の際に増額される可能性が高くなるのです。
他社借入が減った
返済負担率を考える場合の年間返済額には他の借入金の返済額も含まれます。
例えば年収400万円の人が返済負担率30%の住宅ローンに申し込みをする場合に、許容される年間返済額は120万円ですが、この人が毎月1万円返済のカードローンを抱えていた場合には、120万円−12万円=108万円までしか住宅ローンの返済が許容されないことになってしまいます。
この人が金利1%で期間30年の住宅ローンに申し込みをした場合には、借入可能額は約2,800万円となってしまいます。
以前の申込時には他社借入があった人は、再審査の際に他社借入を完済し、解約をしていれば、許容される年間返済額が大きくなるので、再審査で増額される可能性があります。
また、そもそもカードローンなど他社借入があるというだけで、信用はマイナスになるので、再審査に完済していればそれだけで審査通過の可能性は高くなります。
以前よりも担保価値が高くなった
住宅ローンはいかに返済負担率を満たしていても、担保評価額の範囲内までしか融資が出ません。
例えば、土地と建物の合計額が3,000万円の物件を購入したいと考えた時に、評価額が2,500万円しかなければ、融資を受けることができる金額は2,500万円までとなってしまいます。
再審査の際に、土地の評価が上がった場合や、再審査で購入する物件を変更して、評価額の高い不動産だったような場合には、必然的に借入可能額が上がって増額されることになります。
また購入する土地と建物以外の不動産を担保に入れることを銀行が認めてくれた場合には、追加で担保にいれた評価額分だけは住宅ローンの借入可能額が増額されることとなります。
再審査で減額されるケース
再審査に申し込みをして増額される上記のようなケースもあれば、再審査の結果以前よりも減額になってしまうケースもあります。
減額になるケースはどのような場合なのかについても解説していきたいと思います。
以前よりも他社借入が増えた
他社借入の返済額は返済負担率に関係し、住宅ローンで許容される年間返済額を圧迫してしまうことになります。
例えば、他社借入の返済金が毎月1万円増えてしまった場合には、住宅ローンで認められる年間返済額は12万円も下がってしまうことになり、これは借入可能額が少なくなってしまうということです。
再審査の際に以前よりも他社借入が増えている人は減額の可能性が高くなります。
また、借入本数が増えている場合には、再審査で審査落ちになる可能性も低くありません。
以前よりも信用情報が悪化した
以前に住宅ローンを申し込んでから再審査に申し込むまでの間に、他社借入件数が増えたり、クレジットカードや借入金の返済に遅れが増えているような場合には、信用力が低下したと判断されて、減額になってしまうことがあります。
むしろ、住宅ローン審査はあらゆる個人向けローンの審査の中で、最も厳しい審査を行いますので、以前よりも信用情報が悪化している場合には審査落ちの可能性大です。
再審査を希望するのであれば、他社借入を減らすとともに、クレジットカードや借入金の返済期日だけはしっかりと厳守するようにしてください。
以前よりも年収が減少した
年収が増えれば借入可能額が上がるのですから、年収が下がれば借入可能額は少なくなり、減額となってしまいます。
住宅ローンに再審査を申し込むのであれば、昇給によって年収が上がったタイミングなどを狙った方がよいでしょう。
4月になって年収が上がる見込みがあるのであれば、3月に申し込みを行わずに翌年度の5月〜6月の住民税決定通知書を会社からもらったタイミングで申し込みをした方がよいでしょう。
また、降格などが予定されている人は、降格になって年収が下がってしまう前に住宅ローン再審査に申し込みした方が懸命です。
購入物件の価格が下がった
購入したい物件の評価額が下がってしまえば、借入可能額は少なくなってしまします。
近年、地方都市は不動産価格が下落の一途をたどっているので、同じ物件を購入する目的で住宅ローン再審査に申し込みをしても、評価額が下がって減額になってしまう可能性があります。
住宅を選ぶ際には、再審査になることも想定して、できる限り土地がお買い得な物件を選択した方がよいかもしれません。
転職後に再審査して審査に通ったケース
住宅ローン審査では勤続年数がとても重要です。住宅ローンは長い期間をかけて返済していくローンですので、今くらいの年収が完済までの長い期間継続するという見込みがとても重要になるのです。
一般的に勤続年数の長い人は、今後も継続して今の勤務先に勤務する可能性が高いので審査で有利になります。
では、前回住宅ローンに申し込みをしてから再審査に申し込むまでの間に転職して勤続年数が短くなってしまった人は再審査に通過することはできないのでしょうか?
転職は審査に不利になることは間違いありません。しかし、転職しても審査に通過することができる場合もあります。
そのためには、以下の条件を全て満たしている必要があります。転職後の再審査に通過するための条件について説明していきたいと思います。
転職前と転職後の期間に空きがない
転職前と転職後の期間に空きがないと、以前の勤続年数と合計して実質的な勤続年数として審査してくれることがあります。
筆者も以前このようなケースを取り扱ったことがあり、保証会社に相談すると、「転職前と転職後の期間に空きがない(継続性がある)のであれば、転職前と転職後の勤続年数を合計して審査して大丈夫ですよ」と言われたことがあります。
このような人は「働きたくなくて仕事を辞めているのではなく、キャリアアップなどのポジティブな理由で転職しているのだ」と判断される可能性があるのです。
逆に、以前の勤務先を退職してから転職するまでの間に期間が空いてしまっている場合には、「今後も継続的に収入を確保することができない可能性が高い」と判断されて審査に落とされてしまう可能性がありますし、少なくとも以前の申込時よりも再審査時の方が審査上マイナスが増えてしまっているので、審査で不利になることは間違いありません。
以前の勤務先の勤続年数が長い
転職していても、以前の勤務先での勤続年数が長い場合には、審査で大きなマイナスにはなりません。
以前の勤務先に長く勤務していて、転職したのであれば、大きな理由があって転職したと判断されますし、今後は転職後の会社に長く勤務する可能性が高いと判断されるため、審査で大きなマイナスにはならないのです。
反対に、以前の勤務先の勤続年数が短い人が転職をした場合には「コロコロと仕事を変える人」と判断されてしまいます。
前述したように、住宅ローン審査においては、収入に継続性が見込めることが条件となるので、コロコロと仕事を変える人は、今後も現在の仕事を辞めてしまう可能性が高くなると判断され、審査で大きな不利になってしまうのです。
転職前よりも年収が上がった
転職前よりも転職後の方が年収が上がっているということも再審査の際には重要です。
年収も上がっていないのに、転職しているということは「会社が嫌になった」などのネガティブな理由で転職している可能性があると判断されてしまうのです。
年収アップのための転職であれば、住宅ローンの審査担当者も転職に納得がいきます。
このように、以前の申込から再審査までの間に転職をしていても、その転職がポジティブな理由(年収アップなど)であり、今後は転職後の会社に長く勤務する可能性が高いと判断されるものであれば、特段再審査には影響ありません。
再審査の時に離婚していたら審査に通る?
以前の住宅ローン申込から再審査までの間に離婚をしていた場合には、再審査に通過することができるでしょうか?
基本的には極めて不利になると考えた方がよいでしょう。
離婚していると不利になる理由としては以下の3つを考えることができます。
養育費などの支払いで可処分所得が減っている
離婚して、慰謝料や養育費の支払いがある場合には、その支払いによって毎月の使えるお金である可処分所得が減少してしまいます。
離婚前にはなかった費用ですので、この費用が発生している分だけ審査には不利になってしまうことを覚悟した方がよいでしょう。
ただし、離婚しているかどうかなどは、以前に申し込みをした銀行しか分かりません。
このため、離婚した場合には、以前申込をした銀行とは異なる銀行へ再審査申込をするようにしましょう。
以前の申込で妻の年収を所得合算していた場合には借入可能額が大きく下がる
住宅ローンには所得合算という考えがあります。これは、審査の際に計算される年収金額に妻などの同居者の年収を足してよいという考えです。
例えば、夫の年収500万円、妻の年収が300万円で、妻の年収の100%を所得合算できる住宅ローンに以前申し込んだ場合、以前の審査では夫婦合計の年収である800万円で審査を受けていたことになります。
しかし、離婚をしたことによって、妻の年収を合算することができなくなったわけですので、再審査の際には夫の年収だけである500万円で審査を受ける必要があります。
このような場合には、離婚して再審査してもほぼ確実に減額になるか審査落ちになってしまうと考えた方がよいでしょう。
そもそも結婚して家庭がある人の方が審査には有利
そもそも住宅ローンでは、家庭がある人が審査で有利になります。
たとえ返済に苦しくなったとしても、家庭がある人は大事な家族の居場所である住宅を守るために返済に励む傾向がありますが、家庭がない人は返済に苦しくなった時に簡単に住宅とローンを放り投げてしまう可能性があるためです。
このため、離婚して独身になったということそのものが審査には不利になってしまうということは覚悟しておいた方がよいかもしれません。
ただし、しっかりと返済負担率を満たし、担保評価にも信用情報にも問題がなければ離婚しても審査に通過できる可能性は十分にあります。
審査に落ちた理由 通らない理由は教えてくれない
銀行は審査に落ちた理由は基本的に教えてくれません。
「総合的判断により今回は融資を見送らせていただくことになりました」というのが常套句です。
これは、保証会社の保証がつかないからというのが本当の意味です。
銀行は基本的に保証会社の保証が付かない限りは個人向け融資を行っていません。しかし、審査の主体はあくまでも銀行ですし、顧客は銀行にローンを申し込んだのであって保証会社に申し込んだわけではありません。
そのため「保証会社の保証がつかないから」と言ってしまったら「じゃあプロパーは?」という話になりますが、銀行は保証会社の保証が付かない人へプロパー融資を実行する気はありません。
そのため、きわめて曖昧な「総合的な判断」という話になるのです。
しかし、どうしても教えてくれと言えば、一般論として、年収が低すぎて返済比率が満たないとか、今まで信用情報が汚れる支払いをしなかったですか?などと言うことは教えてくれますが、決して「ここに問題があって審査に通過できない」と確定的なことは言いません。
それを言うのは団体信用生命保険の審査に通過できない時だけです。
落ちた履歴は 1年間残る
住宅ローンに申し込んだ履歴は信用情報に申し込んだという記録が付きます。また、審査結果も分かるようになっています。
このため、住宅ローン審査に落ちた後は、申込情報が消える1年経過後に再度申込を行ったほうがよいでしょう。
他社に申し込むならどこがいい?
住宅ローン審査を行っているのは実際には保証会社です。
このため、前回審査に落ちた保証会社とは異なる保証会社の銀行へ申し込んだ方がよいでしょう。
また、そもそも保証会社がついていないフラット35への申込を行ってみるというのも1つの方法です。
しかし、住宅ローンの融資基準はどこもそう大きくは変わりません。このため、まずは、自分が審査落ちした原因をしっかりと把握して、そこを改善するということが最優先です。
審査落ちの原因を改善せずして審査に申し込んでも、基本的には1社に落ちたら他社の審査にも落ちると考えたほうがよいでしょう。
審査落ちの原因を改善すれば再審査でも十分審査に通過できる
住宅ローンは一度審査落ちしてしまっても、審査落ちの原因さえ解消することができれば再審査に通過することは十分に可能です。
冒頭で述べたように、私が銀行員の頃は住宅ローンのノルマに追われていた時に、営業をかける先として有力な候補が以前に審査落ちした人でした。
審査落ちしてから何年か経過すれば、以前の審査落ちの原因を解消できていることが多く、実際に再審査で審査に通過できた人は何人もいました。
住宅ローンは審査が厳しいローンですので、審査落ちすることは珍しいことではありません。
しかし、だからこそ「審査に落ちた」という情報そのものは他のローンと異なり、審査で大きなマイナスにはなりません。
審査落ちの原因は何なのか考え、その原因を解消すれば再審査で審査通過できることは珍しいことではありません。