「QRコード決済」という言葉をまだ耳にしたことないという人も多いのではないでしょうか?
QRコード決済は、まだ日本には浸透していません。
日本人の利用率は6%と言われているためです。
しかし、QRコード決済発祥の地である中国では90%以上の利用率があるとされています。
これからは小売店も外国人観光客相手により販売を獲得して行かなければならない時代ですので、外国人観光客の4分の1を占めると言われる中国人にはメジャーなQRコード決済について理解を深めておいて損はありません。
この記事ではQRコード決済の概要とメリットデメリットについて解説していきたいと思います。
目次
QRコード決済とは?
QRコード決済と聞くと、言葉は難しいですが、実際にはクレカ決済や電子マネーでの決済と大きくは変わりません。
ざっくりと言えばカードを使用するのか、カードの代わりにQRコードを使用するのかという違いがあるだけです。
さらに、ポイントの獲得や、財布が必要ないという付加価値も利用者に提供することができます。
QRコード決済を使用するには、決済用のアプリをダウンロードし、そこにクレジットカードや電子マネーの情報を登録し、決済を行う方法です。
また、携帯料金と一緒に支払いを行うことができるサービスも存在します。
店舗の提示するQRコードを顧客が読み取る
QRコード決済の方法は大きく分けて2つです。
1つ目は店舗がスマホやタブレット上に表示したQRコードを顧客の専用アプリで読み取ることによって、決済を完了させるという方法です。
この方法は、画面ではなくQRコードを紙に印字することで行うことができるため、飲食店であれば、テーブルの上で決済を済ませることも可能になります。
顧客のQRコードを店舗が読み取る
2つ目の方法は顧客がスマホに表示したQRコードを店舗側が読み取り決済を行う方法です。
QRコード決済ができるLINE payなどでは、スマホがクレカとなってクレカの代わりにもすることもできるため、QRコード決済に対応していない店舗でも、クレカ代わりに使用することが可能になります。
代金は連動するクレカから決済
QRコード決済を行うにはQRコード専用のアプリをダウンロードして、そのアプリ内にクレジットカードの情報を登録するか、電子マネーをチャージする必要があります。
QRコードで決済を行うと、このクレジットカードやチャージした電子マネーから決済代金が清算されるという仕組みになります。
このため、基本的にはカードを使用する場合と最終的なお金の流れは変わらないのです。
QRコード決済ができる決済サービス
これまで日本でQRコード決済を行っているのは楽天PayとLINE payなどが主流でしたが、大手携帯キャリアのNTTドコモも2018年から参入しています。
また、今後はメガバンクもQRコード決済業務に参入する見込みとなっています。
楽天Pay
楽天Payは国内最大級のQRコード決済です。
楽天ペイアプリをダウンロードすれば、QRコード決済が可能になります。
店舗側にもメリットがあり、手数料は3.24%で売上は翌日入金ですので、これまでのクレカ決済の「手数料が高い」「資金が入ってくるまでに時間がかかる」というデメリットを解消することができます。
また、首都圏の人が最も使用すると言っても過言ではない電子マネーであるSuicaにも対応しているのが楽天Payの隠れたメリットです。
LINE Pay
大手通信サービスLINEもQRコード決済に参入しています。
LINE PayはQRコード決済だけではなく、LINEの友達に送金や割り勘なども行うことができます。
決済サービスというだけでなく、個人の送金などが簡単にできるツールとしてLINE Payは発展しそうです。
プリカのLINE Payカードを使用することも可能です。
LINE Payにチャージしたお金はLINE内でLINE moneyに変換され、LINE内などでの買い物や友達への送金などが可能です。
仮想通貨には「銀行口座を持っていない途上国の人でも小口の貨幣経済へ参加できる」というミニマムペイメントというビジョンがありますが、LINE Payは銀行口座を通さずに送金や決済ができるため、日本国内のミニマムペイメントを実現できるような決済手段という側面があります。
もちろん、実店舗でもECサイトでも使用でき、2%のポイントが還元されるというメリットもあります。
さらに2018年8月から通常2%〜3%の決済手数料を最大3年間0%にするとも発表しており、LINEもQRコード決済の普及にかなり力を入れていると言えるでしょう。
ただし、資金ギャップは意外に長く、月末締め、翌月末払いですので、現金商売である飲食店にとって1ヶ月の資金ギャップは痛いと言えるかもしれません。
ドコモ
大手携帯キャリアのドコモも2018年4月からQRコード決済サービスを開始しました。
店舗はタブレットにアプリをダウンロードするだけで、顧客のスマホに表示されるQRコードを読み取るだけで決済することができます。
QRコード決済で使用した料金の支払いはドコモの携帯電話料金と一緒に支払うことができます。
今後の展望
2108年2月にメガバンク3行が共同規格でQRコード決済サービスを行う検討に入ったと報道されています。
今は日本の中ではそれほど普及していないQRコード決済ですが、今後は大手の進出によって普及が拡大していくかもしれません。
QRコード決済が使用できる店舗も増える可能性がありますし、店舗側にとってもQRコード決済を希望する顧客が増えていく可能性があります。
QRコード決済のメリット
QRコード決済のメリットは何といっても外国人観光客の確保です。
日本人にはまだまだ馴染みの薄いQRコード決済ですが、外国人とくに中国人にとっては当たり前の決済手段となっています。
東京オリンピックに向けて外国人観光客の需要拡大が見こめる観光市場ですので、QRコード決済ができる店舗に入店する観光客も増加していく可能性があります。
また、顧客にとってはクレカや現金での決済よりも便利でお得に買い物ができるというメリットもあります。
全ての機種で利用可能
これまでのマイクロペイメントは使用できるスマホがそれぞれ限定されていたため、多くの人が一律に使用することができないという点がデメリットでした。
Apple PayはiPhone 7以降でないと使用できませんし、Android PayはAndroid専用のアプリ、おサイフケータイは日本独自の決済システムであるFeliCaに対応した機種だけでしか使用することができませんでした。
しかし、楽天PayもLINE Payも機種を選ばずにアプリをダウンロードすることで使用可能になるため、多くの人に普及する可能性があります。
ポイントや割引などを受けられる
楽天PayもLINE payも使用することによってポイントを得ることができます。
クレジットカードと連動させておけば、クレジットカードの方でもポイントが貯まるため、利用することによって何倍もポイントを獲得することができ、絶対にクレカで決済するよりはお得になるというメリットもあります。
紛失リスクがない
さらに、クレジットカードのように紛失するリスクはありません。
スマホをなくしてもそのスマホのロックを解除することができ、さらにアプリに入ることができなければ決済はできないため、クレカを持つよりも安全ですし、クレカを持ち歩く必要もないため、財布をコンパクトにすることができます。
そのうち、スマホ1台あれば財布は必要ないという時代がやってくるかもしれません。
店舗は売上 顧客は買い物の履歴を残すことができる
店舗では売り上げたデータは簡単に記録として残せますし、買い物をした側も買い物の履歴を簡単に確認することができるため、売上の管理や家計やお小遣いの管理もより簡単になります。
現金を使用した場合には帳簿や家計簿などが必要ですし、クレカの場合にもクレカのマイページなどにログインして履歴を確認する必要がありますが、このような手間は不要になります。
中国人にフォーカスしたいならメリットがあるかも
冒頭述べたように、QRコード決済発祥の地である中国の普及率は90%を超え、中国人にとってはかなりメジャーな決済手段です。
今後、さらに増加が予想される中国人観光客獲得を狙うのであれば、QRコード決済導入は中国人観光客確保には必要になるかもしれませんし、QRコード決済導入によって顧客を誘引できる可能性もあります。
QRコード決済のデメリット
QRコード決済のデメリットはそれほどありません。
導入コストはかからないため、店舗にとっては導入の効果がない場合でもリスクは全くないためです。
しかし、即効性がクレカ決済導入より低いという点や、実際にQRコードで売り上げた場合に手数料や資金ギャップが発生してしまうという点は少なからずデメリットです。
クレカと異なり普及がいまいち
日本でのQRコード決済の普及率は6%と言われていますので、QRコード決済導入によって売上の増加が見込めるかと言われればあまり期待はできないでしょう。
今後外国人観光客が増加すれば増加が見込める可能性はありますが、即効性はなさそうです。
導入コストも維持費もかからないため、金銭的なリスクはありませんが、過度の期待は禁物です。
手数料が発生する
LINE payは最大3年間手数料無料ですが、その後は手数料が発生しますし、楽天Payには手数料が発生します。
通常のクレカ決済よりも手数料は低いとは言えるものの、現金で売り上げればかからないコストですので、やはりこの点はデメリットでしょう。
資金ギャップが発生する
LINE payには1ヶ月の資金ギャップが発生します。
LINE Payの売上で何万円も期待していないという人も多いかもしれませんが、やはり、現金商売である小売業で売上金の入金が1ヶ月先になるというのはデメリットです。
今後メガバンクも参入すると言われていますが、やはりこれらの大手がそれほど早い入金をすることは期待できないため、QRコード決済ではそれなりに資金ギャップが発生するものと考えておいた方がよいかもしれません。
まとめ
QRコード決済なんて意味はあるの?と考える人も少なくありません。
クレカやプリカを持っていれば最終的にお金が決済されるところは同じだからです。
しかし、QRコード決済のメリットはスマホさえあればお金もカードも必要ないという点です。
また日本人には馴染みが薄いですが、中国を中心として世界では普及していますので今後は日本国内でも普及していく可能性はあります。
すぐには売上の拡大は期待できないかもしれませんが、今後の新しい決済手段の1つとして理解しておいて損はありません。
またQR決済を導入しているということは「新しい決済にも対応している」という店舗にとっての1つのブランディングにつながる可能性もあります。
導入すること自体にコストはかかりませんので、興味がある方は導入を検討してはいかがでしょう?