働けない状態が継続したときの、収入減を補う保険です。60日以上就業不能状態が続いていることが、給付金受け取りの条件になります。
給付金は、短期回復給付金と長期回復給付金の2種類があり、それぞれ受け取れるための条件が異なります。
給付金を受け取っているときにも保険料を払い続ける必要があります。
また、就業困難状態には、精神障害や妊娠・出産、むちうちなど他覚症状がないものは含まれません。
目次
アフラック給与サポート保険の特徴
就労困難状態になったときに受け取れる給付金に2種類あるのが特徴です。
会社員の方には傷病手当の制度があるため、傷病手当が出る期間(就労困難になったから1年半)は傷病手当で受け取れる金額では足らない分のみを保険で補えばよいことになります。
対して、自営業など傷病手当の対象にならない方は、給付金の金額を毎月の生活費相当額で設定しておく必要があります。
職業(会社員か自営業か)で社会保険制度が異なるため、それに応じて給付金額をきめ細かく設定できるのがこの商品の特徴です。
契約例
アフラック給与サポート保険のメリット評価
短期と長期、2種類の給付金の受取額を設定できるので、無駄のない保障を確保できます。
アフラック給与サポート保険のデメリット評価
・給付金受け取り中も保険料を支払っていかないといけません。就労困難状態で収入がないのに、保険料支払いの負担は継続する、ということになります。
・就労困難状態になっても60日間継続しないと給付金を受け取れないことになります。つまり、脳卒中で突然倒れて寝たきりになったとしても、およし2か月間は1円も給付金を受け取れません。
ということは、少なくとも2か月分の生活費は貯金で確保しておく必要があります。特に自営業の場合には就労困難状態になるとすぐに収入がなくなるおそれもあるので、仕事の内容によっては2か月といわず半年~1年は収入ゼロでも生活に困らないように資金を確保しておくのが望ましいでしょう。
・精神障害や妊娠出産による就労不能状態では給付金の対象にはなりません。障害年金1級、2級と認定される方の中には、精神障害者も含まれています。しかし、精神障害による就労困難状態では給付金は支給されません。また、共働き世帯にとって、妊娠や出産での就労困難状態は家計にも響きます。しかし、妊娠、出産で休職しても給付金を受け取ることができません。
保険金が支払われないケース!出ない下りない【もらえない例】
「働けなくなったときに備えられる!」とTVのCMでも謳っている給与サポート保険ですが、せっかく保険料を払っていてももらえないケースがあります。
就労不能状態=元の職場に復帰できない状態 ということではない
自営で運送業の仕事をしていたAさんの話。交通事故にあい、足を骨折して1ヶ月休職し、復帰しようとしましたが、後遺症によって運転の仕事ができなくなりました。
父親の代から受け継ぎ、長年、家族で運送業を営んできたAさん、今さら事務の仕事などできません。後遺症のケアと並行して新規の営業もしないといけません。
そんな時に給与サポート保険の給付金がもらえるかというと、この場合は支払い対象外です。
収入は減っているものの、ドライバー以外の仕事ができるくらいまで回復しているからです。
また、1ヶ月で治療も終わっているため、短期回復支援金の対象にもなりません。
就労困難状態というのは、保険会社の定めた基準で決められるため、元の仕事に復帰できないからといって給付金がもらえるわけではないんです。
運よく、息子さんが運転の仕事を引き受けてくれたため、事業は存続していますが、今後そのようなことが起こったときに備えてケガの保障を手厚くしたり、収入が途絶えたときに役立つような小規模企業共済の活用も検討したりする必要があります。
最長65歳までしかかけられない
自営業のBさんは、機械のエンジニアの仕事をしています。仕事柄、定年はあってないようなもの。Bさんの業界では、70歳をすぎた人でも熟練の技術をもって海外で活躍している人がたくさんいます。
しかし、この保険、働く人のための保険といいつつ、65歳までで保険が終わってしまいます。
シニア世代といっても現役でバリバリ働かれている方もいます。また、国の働き方改革によって今後もシニアの雇用促進や定年制度の撤廃なども増えていくことでしょう。
「65歳で保障が切れるのは働く人を本当にサポートできるのだろうか。」と、Bさんは疑問に思いながら65歳まで保険をかけました。また、70歳以降、働けなくなった場合に備えて、毎月積み立ている貯蓄の額を増やすことにしました。
妊娠出産では給付金を受け取れない
個人事業主としてWebデザイナーの仕事をしているCさん。個人事業主は産休、育休の制度も対象外であることや、病気で働けなくなったときの傷病手当金ももらえないことから、給与サポート保険に加入を検討していました。
しかし、この保険は妊娠、出産による就労困難状態では給付金対象外、つまり1円ももらえないことがわかったのです。
妊娠、出産期となると、どんな仕事でもつくことができない、つまり就労困難状態となります。
会社員の妊婦さんには産前産後休暇に加えて、勤務先の健康保険や雇用保険からある程度の補助があります。しかし、個人事業主にはそのようなサポートがありません。
仕事を長く休むと仕事が減ってしまうため、営業もしていかないといけません。Cさんは出産後1ヶ月で仕事復帰せざるを得ない状況です。妊娠、出産、産後は体調の変化も大きく、無理はできません。とはいえ、保険でカバーできないと収入減は家計に大きなダメージにもなります。
Cさんは、妊娠や出産時の就労困難状態でも給付を受け取れるような保険に加入することになり、妊娠や出産に備えて医療保険の見直しも一緒にしました。
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約款から読み解く 保障内容と給付
①短期回復支援給付金
短期回復支援給付金は最長18回(1年6か月)受け取れます。
ⅰ)第1回以後第6回までの給付金
保険期間中に、a)、b)すべてに該当したときに受け取れます。
a)責任開始以後の障害または疾病を原因として、就労困難状態に該当し、その状態が60日継続したと医師によって診断されたとき
b)a)に該当した日の翌日に生存していれば第1回の短期回復支援金が支払われます。また、第2回~第6回までの支払い基準日に生存しているときにそれぞれ短期回復支援金が支払われます。
ⅱ)第7回~第17回までの給付金
就労困難状態が継続していると医師によって診断されたときに受け取れます。
②長期療養支援給付金
就労困難状態が継続していると医師によって診断されたときに受け取れます。受け取れる期間は最長で保険期間が終わる時(60歳満期、または65歳満期)までです。就業可能な状態にまで回復すれば長期療養支援給付金の支給は終了します。毎月、就労困難状態であることを医師に診断書を書いてもらう必要があります。
③長期給付無事故支払金
長期療養支援給付金の受け取りがなく、保険期間の満了時に生存していれば、長期給付無事故支払金が受け取れます。受け取れる金額は、長期療養支援給付金のひと月分の金額です。
つまり、給付金を一度も受け取らない、または受け取ったとしても短期間(短期回復支援給付金のみ)の受け取りの場合で、60歳または65歳になったら長期給付無事故支払金を受け取ることができる、ということになります。
*就労困難状態とは
ⅰ)入院、または在宅療養が継続していて、外出が困難な状態であることをいいます。
ⅱ)国民年金法にもとづく、障害等級1級または2級に認定された状態も就労困難状態であるとみなします。
ⅲ)別表61に定める特定障害状態に該当したときも就労困難状態とみなします。
(特定障害状態とは、両目の視力があわせて0.08以下、咀嚼や嚥下の機能を欠く、言語機能の障害、心臓移植や人工透析療法を受けるといった障害など)
付加できる特約
・指定代理請求特約
被保険者が給付金を請求できない事情(事故や病気などによって給付金請求を行う意思表示が困難である場合など)がある場合に、あらかじめ指定された指定代理請求人が被保険者の代わりに給付金を請求できるようにする特約です。
指定代理請求人には、戸籍上の配偶者や3親等以内の親族などがなることができます。
参考
アフラック生命保険株式会社
http://www.aflac.co.jp/
アフラック生命保険株式会社「給与サポート保険」
http://www.aflac.co.jp/ksupport/
執筆時点での著者調べ
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