死亡保障はいくら必要?生命保険の選び方

年の差婚の家庭で生命保険の死亡保障いくら必要か?遺族年金の金額も

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3)年の差婚の場合の死亡保障
年の差婚、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。年の差婚であっても、遺族年金の受け取りは、
・夫死亡時の職業(会社員か自営業か)
・18歳未満の子どもの有無
・子どもがいなければ夫死亡時の妻の年齢
などで遺族年金の額が決まります。

年の差婚で注意したいのが、夫が一家の大黒柱で妻よりもかなり年上の場合の生命保険です。

会社員の夫55歳(標準報酬月額35万円とする)が亡くなってから妻が受け取れる公的年金は、

子どもが18歳になるまで
遺族基礎年金 + 遺族厚生年金 =130,475円(月額)
130,475円 × 12 ×18=2,818万円
子どもが18歳を迎えてから妻が老齢年金を受け取るまで
遺族厚生年金 + 中高齢寡婦加算 =95,516円(月額)
95,516円 × 12 ×(65-56)=1,031万円

妻が老齢年金を受け取ってから平均余命(87歳)で亡くなるまで
遺族厚生年金 + 妻の老齢基礎年金 =111,766円(月額)
111,766円 × 12 ×(87-65)=2,950万円

妻が受け取れる公的年金は、
2,818万円+1,031万円+2,950万円=6,799万円

夫の死後、妻に必要な生活費は、死亡前の毎月の生活費を30万円とすると
子どもが大学を卒業するまで(夫の死亡によって生活費が当初の7割まで減ると仮定)
30万円 × 70% ×12 ×23=5,796万円

子どもが大学を卒業してから亡くなるまで(子どもが独立することで生活費が当初の5割まで減ると仮定)
30万円 × 50% ×12×(87-56)=5,580万円

夫の死後、妻が亡くなるまでの生活費の合計は、
5,796万円 + 5,580万円 =11,376万円

夫の死後、公的年金だけでは不足する金額は、
11,376万円‐6,799万円=4,577万円になります。

ただこの金額を、生命保険だけで備えないといけないかというとそうではありません。55歳で4,500万円の生命保険に加入するとなると、健康体割引のある保険でも毎月約25,000円と、保険料は相当高くなります。(メットライフ生命 スーパー割引定期保険http://www.metlife.co.jp/products/life/の保険料試算より)

生命保険ですべて備える必要がないのは、年の差婚だとある程度経済的に余裕があることが多いからです。預貯金もある程度あるでしょうから、その金額を差し引いて、足りない部分を生命保険で補うのが良いでしょう。

しかし、年の差婚だと、どちらかが先に重い病気になったり介護状態になったりするリスクも高くなります。また、初婚年齢の高年齢化により、子育てと親の介護が重なることもあります。そのために万が一の保障だけでなく、病気や介護の備えもしておくのをおすすめします。

さらに、どちらかが高齢であれば、すでに生活習慣病を抱えている方も出てくるでしょう。生命保険は、健康でなければ加入できません。それは、同じ年齢、性別の加入者同士の条件を同じにしておかないと、同じ保険料なのに支払いのリスク(病気や死亡などで保険金や給付金を支払う可能性)の高い人がいると加入者同士で不公平が生じてしまうからです。

とはいっても、いくら健康に気を付けていても、病気にかかってしまうこともありますよね。生命保険に加入するためには、過去の病気やケガのこと、現在の体調(健康診断結での指摘など)を告知する必要があります。告知は、文書ですることになっていますが、その際に過去の病歴を隠したり、まだ経過観察中なのに完治したと嘘を書いたりすると、発覚次第、『告知義務違反』として保険契約を解除されてしまいます。

『これくらい書かなくてもいいだろう』と、虚偽を告知する人がいますが、このような嘘は、後々の給付金請求などの時に必ずばれてしまいますので正しく告知しないといけません。告知を正直に、詳しくすることで、過去に病気やケガをしていても保険に加入できる場合もあります。とはいっても、健康状態や過去の病歴によっては、保険料が少し割増されたり、一定期間の不担保(給付金の対象外になるということ)になったりする場合もあります。

もし、それでも加入できない時には、限定告知型(引き受け基準緩和型ともいいます)の生命保険もあるので検討してみましょう。これは、告知項目が少なく、過去1年または2年以内に入院や手術歴がないといった条件を満たせば、加入できる保険です。糖尿病やリウマチなどで通院治療をしている場合などでも加入できる可能性が高いです。ただし、告知項目が少ない分、保険料は割高なのと、加入から1年間は保障が半分になってしまうというデメリットもあります。

預貯金がたくさんあるから生命保険は必要ない、と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。ご自身に万が一のことがあっても、貯金だけではリスクが高いものです。というのも、万が一の時には、金融機関に預けられている預貯金が凍結されてしまい、相続手続きが終わるまで窓口でもATMでもお金を引き出せなくなってしまいます。そうすると、いくら預貯金があったとしても、相続の手続きが終わるまでのおよそ1年間、遺族の生活資金を確保できなくなります。そういう時には、一時払いの終身保険や一時払いの養老保険など、貯蓄の効果のある保険で備えるのも一つの方法です。生命保険であれば、万が一の時には受取人に確実に渡すことができるからです。

年の差婚で夫がかなり年上だと、注意しないといけないことが多いですが、毎月の保険料に無理のない範囲で保障を持てればよいですね。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター『病歴があったのに告知するのを忘れていたら?』
http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/life_insurance_q7.html
参考:オリックス生命保険『新ライズ・サポート』
http://www.orixlife.co.jp/si/n_rise_support/
参考:三菱UFJ銀行『相続御手続のご案内』
http://www.bk.mufg.jp/tsukau/tetsuduki/sozoku/point.html
参考:公益財団法人 生命保険文化センター『家族が亡くなった場合、どのような手続きが必要?』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/succession/1.html
参考:公益財団法人 生命保険文化センター『死亡保険金はどのようにして受け取る?』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/succession/4.html

注)
1.このコラムでの年金制度については2016年1月時点での情報をもとに作成しています。また、各年金額については2015年の金額をもとに計算しています。
2.遺族年金の受給要件につきましては、このコラム記載以外にも細かく設定されている場合があります。詳細は日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/ の情報をご覧ください。
3.いろいろな家族のパターンでの遺族年金のシミュレーションにつきましては、年金の未納や免除期間が無く、満額受給可能な条件を満たしていると仮定して作成していますので、実際の受け取り額につきましては、被保険者それぞれの加入期間、標準報酬月額、未納や免除期間の有無によって異なりますことをご了承ください。
4.詳細な年金支給額につきましては、1年に一度送付される『ねんきん定期便』を確認するか、各地域の年金事務所、社会保険労務士などの専門家にお問い合わせください。

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